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ユーザー通信208号 7面:東芝機械 グループソリューションフェア

ユーザー通信 WEB版

『東芝機械グループ ソリューションフェア』に8千人来場

来春「芝浦機械」へ弾み―昨年比1000人増、過去最高を更新

工作機械では「超高圧クーラント仕様の効果」など強調


東芝機械(三上高弘社長)は、5月23日~25日にかけ、沼津本社・工場(静岡県沼津市大岡)と御殿場工場(同御殿場市駒門)の両会場にて、恒例のプライベートショー「東芝機械グループ ソリューションフェア2019」を開催した。

来場者数は昨年の実績であり当初の予想でもあった7000人を約1000人上回り、3日間で7983人が訪れ、過去最高記録を更新した。

そんななか、御殿場テクニカルセンターには、金属3D積層装置の試作機『ZK‐T2010』【写真A】を含め、工作機械を7台展示した。

金属3D積層造形では、既存パイプ側面への付加造形のデモが1日4回のペースで繰り返され、「AM(アディティブマニュファクチャリング)技術を駆使したデジタルものづくり」の事例として、ロケットエンジン部品の形状模擬サンプルにより、従来素材・製品・造形のまま、それぞれの違いや、AMを用いたリバースエンジニアリングサンプルの事例として「令和」の文字をモチーフとしたサンプルも展示した。

ほか、門形マシニングセンタ『MCW‐4624(5A)』による航空機インスパーリブモデル、同じく門形MC『MPF‐2614FS』による航空機ハニカムモデル、CNC立旋盤『TUE‐100(S)』でのタービンディスク(材質・インコネル600、総加工時間20時間)や横形MC『BM‐1250Q』での航空機翼部品モデル(材質・A7050、総加工時間2時間45分)など、高精度・高能率を標榜する加工サンプルの展示がズラリと並んだ。

そんななか、複合加工機のベストセラー「TMDシリーズ」に、高減衰性に優れたX軸摺動面仕様を追加した『TMD‐13C(B)』【写真B】については、タービンディスクモデル(材質・インコネル718、総加工時間12時間11分)の展示に加え、加工実演では「超高圧クーラントの効果」を強調した。

インコネル等の耐熱鋼加工用に威力を発揮する14Mpa(メガパスカル/クーラント液噴出圧力)高圧クーラントを追加(※オプション)したことにより、切りくずの細分化による切削中の絡みつきをなくし、切りくず排出時の目づまりを防止、切りくず処理時の安全性向上と加工面への傷つき防止、工具摩耗の低減といった効果をもたらせる。

さらに、環境を考慮した設計の天井付きスプラッシュガードにより、切りくずの飛散防止に対応した(※オプション)。

この摺動面仕様機と14Mpaの超高圧クーラントの組み合わせについては、すでに昨年のJIMTOFで実証済みだが、今回拾えた声では、「その効果と噴出圧力の高さ(14Mpa以上)を求めればキリがない」「機械側でみれば、密閉性、高圧に耐えうるフルフェイスのミストカバーなど、付帯するランニングコストが高くなる懸念」があがるなど、総じて、「そもそも論として、立旋盤での難削材加工の必要性あってこその効果であり需要、その強い要望が必要」だとの客観視が少なくないようだ。

また沼津工場では、IoTプラットフォーム『machiNet』やAI画像認識技術(ディープラーニング)、精密加工センターではINTERMOLD等でもおなじみの超精密加工機『UVMシリーズ』といった先進技術の紹介。一方、ダイカストマシン【写真C】や大型射出成形機、そして毎回大きな歓声が沸き上がるのが定番の、鋳物工場での注湯実演【写真D】等々、「総合機械メーカー」東芝機械ならではの、製造業の新旧入り混じった光景が今年も展開され、にぎわった。

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