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ユーザー通信208号 5面:山善親交会 決算―専門商社としての悲願「売上高5千億円」超えを報告

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新中期経営計画最終年度は「売上高6100億円、営業利益220億円」を計画
中小企業の事業承継支援と戦略的M&Aに100億円投資へ

山善(本社=大阪市西区立売堀)は5月16日、大阪市北区天満橋の帝国ホテル大阪にて「2019年 山善親交会」を開催した。

主力仕入先331社・378名が参集するなか、長尾雄次社長があいさつとともに、5月14日付で発表した2019年3月期(第73期)決算のポイント、および新年度の取り組みについて述べた。

3ヵ年経営計画「ONEXT YAMAZEN 2018」の最終年度だった73期の連結業績は、売上高が前年対比6%増の5263億6400万円、営業利益が17%増の179億9700万円、経常利益が18%増の178億5900万円、親会社株主に帰属する当期純利益が19%増の121億8400万円と、期中に上方修正をした売上高5200億円、営業利益170億円を超えた。

長尾社長は、「専門商社としての悲願であった売上高5千億円の壁は、スケジュールどおり打ち破ることができたが、昨年後半からの世界経済、特に中華圏の変調をまともに受け、73期は前年比伸び率という意味では、第3四半期(12月)までは順調だったが、第4四半期に尻すぼみとなった」としながらも、「年間としては売上高および各利益項目とも過去最高の新記録を達成することができた」として、列席者らの支援と協力に対し、あらためて感謝の意を表した。

事業部別の概要のうち生産財ドメインでは、売上高は前年対比で106%。支社別の実績では、国内外11支社のなかで台湾支社が58%、中国支社が87%と、下期に大苦戦した中華圏の大幅減収が目立った。

国内の機械事業部は、一般機械や建設自動車関連からの工作機械の需要は底堅く推移し、省人化によるロボット需要等への投資意欲が旺盛だったうえ、国内の機工事業は、自動化需要の高まりによってメカトロ機器の販売が伸長し、測定機器や切削工具など幅広い分野で堅調に推移した。
海外については、米国市場が自動車産業を中心に工作機械の販売が堅調に推移した一方で、中国市場においては、米中貿易摩擦の影響もあり設備導入の動きは減速した。アセアン市場では、日系自動車部品メーカーへの工作機械の販売が安定的に推移したほか、非連結子会社ながらインドの5拠点も順調に推移している
今年3月に終了した過去3ヵ年間の損益については、3年前の70期との比較で売上高は785億9千万円の増加(18%増)、営業利益は47億3900万円の増加(36%増)、営業利益率は0・5%増の3・4%、当期純利益は29億9200万円の増加(33%増)となった。

新3ヶ年経営計画は「CROSSING=事業部横断」を標榜

これらをバックボーンに、今年度から新中期経営計画「CROSSING YAMAZEN 2021」がスタートしている。
「CROSSING」とは、これまで事業や部門ごとに培ってきたさまざまな提供価値を掛け合わせて、新たな価値を生み出し、そのシナジーを発揮する総合力と高い拡張性を連想させるもので、新3ヵ年経営計画に対する経営方針そのものである。

「これからは生産財、消費財を問わず、その垣根を越えて、単なる足し算ではなく、各事業ドメインを掛け合わせ『ヒト、モノ、コト、情報』などをクロスさせることで、ユーザー目線での新しい価値を生み出し、さまざまなイノベーションに取り組み、組織を横断的に機能させていくとの思い、意味が込められている」と長尾社長は説く。

具体的には、FAE(フィールド アプリケーション エンジニア)営業部を支社に昇格させ、機械事業部と機工事業部が連携しながら、自動化、ロボット化のエンジニアリング機能を備えた実販売部隊として顧客の新規開拓も自ら行い、まだまだ伸びる巨大市場に打って出る。

また、工場・オフィス向けのエネルギーソリューション市場へ参入、拡大を目的とし、SFS(スマート ファクトリー ソリューション)支社内に「建設・設備支店」を新設し、さらに、経営企画本部には「物流部」を新設し、全社的な物流機能の強化を図るなど、貴重な経営資源である顧客を横断し、ノウハウの事業部横断、エンジニアリング機能を装備した専門集団といった新たなビジネスモデル構築を目指す。

こういった施策等をもとに、3ヵ年最終年度の2022年3月期の目標として、売上高6100億円、営業利益220億円を計画する。

今期売上高5300億円を再下限に取り組む

そんななか、今期の事業環境の見通しについて、生産財分野においては、昨年後半から潮目が大きく変わったが、ここにきて、次の回復局面に備えた生産体制の強化、準備に余念のない企業も出てきており、「変わった潮目は、また再び変わり始めている」等をふまえ、2020年3月期(第74期)の定量計画として、売上高は前年比横ばい(100・7%)の5300億円、営業利益は160億円(88・9%)、営業利益率は3・0%(0・4%減)、当期純利益は110億円(90・3%)を再下限に取り組むとした。

最後に、山善ではこれまで、投資項目については、事業部ごとの帰属に委ねられ細分化していたが、グローバルでの全社横断を標榜する流れのなかで「全社投資」として、今後5年間で総額600億円の予算枠の設定を、この日初めてリリースした。

その内訳は、M&Aを含めた新規事業投資に200億円、経営基幹システムの初期構築費用に100億円、物流整備等の設備投資に300億円。なかでも、事業投資枠のうち、中小企業の事業承継支援と戦略的M&Aに100億円の投資枠を設定した。

これは、周知のとおり、中小企業の後継者不足は深刻度を増しており、山善の取引先においても後継者不在により廃業を余儀なくされるケースもあるなど、業界の貴重な財産を失うことを懸念してのこと。

こうしたなか、山善グループが展開する事業領域内で、後継者の育成、社内体制の整備、株式、事業用資産の承継を支援することで、社会的な課題解決に貢献すると同時に、山善グループの持続的成長に向けた経営資源の獲得も含めた機動的な投資を実現していく。

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