ユーザー通信202号抜粋 ロボット拠点、続々 ― 「ロボットとSI屋さん(ロボットシステムインテグレーター)の事情」
常設のショールームはもちろん、テンポラリーなゾーン展示も含め、日本中に続々と「ロボット拠点」が誕生するなか関西では、11月29~30日に三菱電機 西日本ソリューションセンター(兵庫・尼崎市)で「ロボットソリューションフェア」が開催された。
4年ぶり2回目となる同フェアでは、独自のAI技術「Maisart(マイサート)」を搭載した「MELFA(メルファ) Smart Plus」カードの新型ロボット『MELFA FRシリーズ』への装備や、2019年に発売を予定する「人協働ロボット」の参考出展をはじめ、ロボットソリューションビジネス強化に向けた取り組みが示された。
そのなかで、具体的なアプリケーションイメージを高めるための出展協力会社には、HCI(大阪府泉大津市式内町、奥山剛旭社長)も名を連ねた。そのHCI自身は翌週の12月3日、地元・泉大津市の商工会議所内で、「HCI ROBOT CENTER」の開設記念式典を催し、南出賢一市長はじめ120名が出席した(※同センター自体はすでに今年9月から商工会議所1階にオープンし、220名が来場している)。
この両催しで共通し強調されたのが、最近では、いわゆる「エスアイ(SI)屋さん」とも気軽に呼ばれる、「ロボットシステムインテグレータ」(以下、SIer)の位置付け、役割といった重要性である。
HCIの中核事業は元々、ケーブル・ワイヤー・チューブ・シートの製造装置メーカーであり、そこで培ってきた固有技術を、「把握しづらく」「癖がつかみにくく」「(先端が)どっちへいくかわからない」といったケーブル状の柔軟物を扱う強みを、ロボットシステムを構築する技術に応用し、ロボットSIerとして、現在、広く認知に至っている。
大前提として、ロボット(の本体そのもの)は「半完成製品」である。ロボット・関連機器ベンダーが各種のロボット、オプション、システム構築用機能を提供し、エンドユーザーの目的や要望を実現する最適なシステムを構築、提供するのがロボットSIerの役割というなか、自動化においては、ビジョンセンサ、情報機器などの技術が急速に発達し、同じ機器を使っても「SIer技術の優劣」がシステム性能を左右することから、自動化要求レベルが高くなっている国内製造業は、新興工業国と同レベルでは国際競争力に勝てないともいわれている。
折しも今年7月には、「FA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)」(東京都港区芝大門、久保田和雄会長/三明機工社長)が設立されたが、全て任せられるSl能力、得意術を持ち寄りチームでの一段高い課題解決、多岐に拡大する規格や法規など、さらなる能力拡大が求められる、昨今の「SI屋さん事情」である。
「恋、あなた次第」という昭和歌謡があったが、新元号時代は、「ロボット、SI屋さん次第」といったところか―。
(本号が2018年の納刊となります。本年もご通読いただき、誠にありがとうございました)
2018年12月26日