ユーザー通信202号 マパール 「新生」ジャパンの戦略・展望を発表
マパール(本社=埼玉県三郷市栄)はJIMTOF会期中の11月2日、マパールグループ(ドイツ本社)社長のヨハン クレス博士、アジアパイフィックディレクターのアーミン キャスパー氏、マーケティング ヴァイスプレジデントのアンドリース エンゼルバッハ氏、そして今年1月にマパール社長に就任した松田剛一氏が出席し、マパールグループおよびマパールの現状と今後の展望、日本市場における戦略等を発表した。
発表に先立ち、これまで工作機械メーカーや精密工具メーカーで幾多の経験、実績を残してきた松田社長は、「以前からマパールには強く興味を抱いていたこともあり、この度の縁を、大変光栄に思っている。特殊品を中心に、全世界の自動車業界で使われている、ワンランク違う製品のイメージだが、実は、そればかりではない、皆さんに知られていない部分がある」とマパール製品への「特別な想い」を吐露した。
これを受けクレス社長はあらためて、「マパールに来てくれてありがとう」と感謝の意を伝えたうえで、マパールグループの2017年度について、売上高は6億1千万ユーロ(6・0%増)、従業員数も順調に増え5250人(5・6%増)と、「成功の年だった」旨あらためて振り返り、なかでもインターンの人数が2倍に増えたことを重要視し、今後も育成に投資していく意向を示した。
続いて、キャスパーディレクターは、日本における新しいアイデア、目標、戦略、オペレーションとして、工作機械メーカー、自動車産業のプロジェクトサポート部門である「TET部門」の設置、国内販売ルートの強化とともに、「三郷本社の機能拡充へ大きな投資」に加え、周辺に工作機械メーカーが集積する名古屋支社を拡充し、技術部門とカスタマーサービス部門の移転を構想していると述べた。
また、日本のメガトレンド(顧客の流れや関心)として、最少量潤滑を意味する「MQL」と、e-モビリティ(電気自動車用加工工具)を挙げ解説。世界的な自動車メーカーでMQL製造の成功をサポートしているマパールは、MQLテクノロジーに関するさざまなセミナーを実施しており、JIMTOF会期中にも技術セミナーとして実施した。
最後は松田社長が、2019年に向けた新製品と新たな展開として、3枚刃『トリタンドリル』をはじめ、ツールディスペンシングシステム(工具保管・管理)など最新工具・システムを紹介。
そのなかで、「マパールが約3万点もの標準品を取りそろえていることはあまり知られていない」、MQLについては、「寄せられる相談、テストの状況を見る限り、日本においても、またここへきて関心が再燃していると見ている」と強調した。
さらには注目ポイントとして、「3D製造技術」を挙げた。マパールではすでに、かなり多くの製品で3Dプリンターを盛り込んだ製造技術が実践されており、従来はできなかった新しい形状を可能とし新製品を産み出しているという。
また、前出の国内販売ルートの強化、流通の整備について、「私のなかにある戦略」と表現し、「標準品の拡販は我々にとってもチャレンジになるが、これだけの製品があるだけに、チャレンジする価値がある市場だと思っている」と言及した。
2018年12月25日