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ユーザー通信197号 抜粋 三菱マテリアル MSM改め『DIAEDGE特約店会』を開催

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三菱マテリアル MSM改め『DIAEDGE特約店会』を開催

事業方針のハイライトは「真のパートナー」としての信頼(中村伸一カンパニープレジデント)

三菱マテリアル(本社=東京都千代田区大手町)の特約店会にあたるMSM(三菱拡販戦略会議)、改め『2018 DIAEDGE特約店会』が5月22~25日にかけ、九州・名古屋・大阪・東京の順に各地区で開催された。このうち、5月24日に帝国ホテル大阪で開かれた西日本特約店会には、特約店69名、代理店25名の計94名が臨席した。
第1部ではまず、今年2月15日付で加工事業カンパニープレジデントに就任した中村伸一常務執行役員(※写真)より、昨年後半の同社グループによる品質に関する不適切行為の発覚を陳謝し、次のようにふれながら、理解と協力を求めた。
「過去に起こしたことを取り消すことはできないが、再発防止策を確実に、かつ迅速に実行することにより、我々、超硬製品事業としてもお客様の信頼を取り戻すことを第一に置き、襟を正した行動、想いをお客様に伝え、一日も早い信頼回復に取り組んでいる」。
そのうえで、超硬製品事業の経営実績と計画について、次の旨述べた。

全社に占める加工事業の割合は、売上高ではここ2、3年で二桁台に近づきつつあり、数年前に比べて確実に割合を増している状況。加工事業カンパニーの利益では、昨年度は19%と比較的高い割合を捻出しており、「これらの数字に甘んじることなく、売上高は安定的に二桁以上に、加工事業カンパニー利益は20%台を維持できるような体質にしていきたい」。
経営方針における事業方針(ビジョン)は、「顧客視点に立ったスピードと変革を常に求め、実現し続けることで、顧客より『真のパートナー』として信頼を得る、活力溢れたワクワクする事業体となる」を不変としながらも、冒頭にふれた品質問題を受け、「真のパートナー」を強調、ハイライトとする。
売上高の中期計画と長期目標においては、3ヶ年新中期計画の初年度であった昨年度(2017年)の実績は、2000年代のピークである07年度を100とした場合の指数で122と非常に高いレベル、今年度(18年)は対前年比約10%の成長を見込んだ134を予算としスタートしている。
設備投資の中期計画では、昨今の旺盛な受注環境のなかで、18年は07年指数比193とのかなり高水準な設備投資を行う計画であり、製品供給力の質を上げていく投資の継続に、ぜひ期待してほしい。
加えて、4年前から鋭意取り組んでいる「ワクワクプロジェクト」について、「MMCマガジン」発行による惜しみない情報公開、教育ニーズ・技術伝承に応える「切削アカデミー」の開催等を例に、プロジェクト実施前後の独自調査による自社イメージや主要工具メーカーの売上高推移比較グラフを用いながら、プロジェクトの奏功について、あらためて説いた。

次に、金子善昭営業本部長 兼 ロジスティック本部長による営業概況説明では、最初に、中期経営計画の骨子である「プロダクトアウトからマーケットインへ」「徹底した選択と集中」「大手ユーザー攻略」について、次のように説いた。
「従来、当社の考え方は、どちらかといえば製品起点であり、我々が開発した商品を特約店様に販売してもらおう、という考え方をガラリと変え、起点を顧客(キーとなるお客様)・マーケット(産業・地域)からの視点、そのために我々はどういった製品を開発し供給するか、というように、企業文化を変えようと努力している」。
納期については、「ほぼ100%近くに推移しており、標準インサート製品に遅れはない」としながらも、改善を要する一部の製品やコンスタントな供給を継続するため、筑波、岐阜、明石の各製作所における改善の取り組みについて、次のように言及した。
▽筑波製品=増員・設備投資によりインサートの生産能力を増強(18年度年初から年度末比で14%増)。18年度末までにM級・P級ともに在庫サービス率98%以上を目指す。また設備投資、海外拠点の増産対応によりP級特殊インサートの生産能力を約20%増強する。
▽岐阜製品=超硬ソリッドドリルの安定供給に向けて、「スーパーロングドリル」と「MVシリーズ」の在庫整備に注力し、さらに計画的な設備投資により、20年までに生産能力を18%増強する。
▽明石製品=超硬エンドミルの安定供給に向けて、「VC/VF」と「VQシリーズ」の在庫整備に注力し、かつ同製品の生産を海外にも展開し、受注残を16年度比で今年度末には73%にまで減少と、受注残を解消。
新製品に関しては、今年度は第3四半期(12月末)までに約1600アイテム(インサート245・ドリル220・CBN922・エンドミル23・金物工具189)を発売予定。新製品化率(特殊品を含めた全販売金額に占める新製品の販売比率)は35%以上を目指す(17年実績は24%)。
このほか、工具価格改定、特許公開件数、テクニカルセンターのグローバルネットワーク、IoTの取り組み、JIMTOF2018出展等々を取り上げながら、営業本部の今年度の取り組み重点テーマとして、「自動盤用工具の浸透」「ターゲット顧客のポテンシャル情報深化」「産業別ユーザーに軸足を置いた活動、新製品比率向上」「テクニカルセンターの有効活用」「人材育成・教育システムの構築」とまとめた。

続いての年間優秀特約店表彰を挟み、営業本部 流通営業部の堀江武夫部長が、「主力販売店店内シェア№1奪取」を方針とする、流通営業部施策の説明に立った。
そしてこのタイミングで、同会の呼称が今年度より、新ブランド浸透への想いを込め、『DIAEDGE特約店会』と改められ、JIMTOF招待、サマーセールといった拡販キャンペーン告知のほか、主に次の内容が語られた。
代理店からの発注金額の推移(金額ベースでの全国受注推移)では、17年度実績は前年度比108%、18年度計画は同111%を設定する。
小型旋盤での自動車向け小物部品は今後も拡大傾向であることから、ツーリングフルターンに対応したレパートリーの拡大を実施し、自動盤・小型旋盤向けのトータルツーリングを拡充する。伴っての、シチズンマシナリーとの協業取り組みでは、低周波振動切削の事例がある(中部テクニカルセンターに導入済み)。
キャラバン活動について当初(15年~)は、震災(筑波)、洪水(タイ)後に商品供給の復活をアピールするため、キャラバンカーに自前在庫を積み込み、主に、本取り組みに理解を得られた事業所を訪問(即売)していたが、今年度からは新商品PR、拡販を重視した活動へと変更し、新規のユーザーやキャラバン未実施の特約店での取り組みに重きを置き、キャラバンカーを改造し、展示品、加工ワークを搭載する。
なお、キャラバン活動の17年度実績は、①工数=349日②訪問件数=2280件③売上金額(定価ベース)=3億6200万円(1日あたりの売上=100万円)。18年度目標は、①350日②2300件③4億円。
最後に、昨年6月に開設した中部テクニカルセンター(岐阜製作所内)の、今年3月までの利用者数は計338件(加工テスト53、講習会・勉強会145、見学会140)を報告し、引き続いての開発本部 独創工具開発部によるプレゼン、「切削加工ソリューションと次世代工具」、第2部の懇親会へと会は進行した。

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