ユーザー通信197号 02 端面溝入れに「特化」した『コロカットQF』(サンドビック)
端面溝入れに「特化」した『コロカットQF』(サンドビック)
専用工具で端面溝加工の高剛性を実現
5月の同時期に行われた「東芝機械グループソリューションフェア」と「MEX金沢」の両展では、サンドビック コロマントカンパニーの新製品、端面溝入れ用工具『CoroCut(コロカット) QF』の展示が目についた。
折しも、少し前に京滋地区のある機械工具ディーラー(の代表者)と会話するなかで、「サンドビックの『コロカットQF』っていう新製品、あれはええ(良い)工具やで~」としきりに絶賛していたシーンを回想しつつ、両展での説明スタッフの談も交えながら、あらためて特長を整理してみた。
他メーカー含め、これまでは、端面溝入れ加工に「特化」した「専用」工具は存在しなかったというなか、コロカットQFはホルダの高剛性化をコンセプトに、細く深い端面溝加工で、切りくず処理が困難な加工にも抜群の安定性をもたらす。
チップ幅は3㎜、4㎜用。QSシャンクタイプ、CoroTurn(コロターン) SL カッティングヘッドを導入。
革新的なホルダのスリット設計により、高剛性なホルダを実現。びびりのリスクを低減しつつ、より高い動的剛性を実現し、より溝深さの深い加工も可能にしている。
「従来ホルダで負荷の応力が集中する弱い部分の肉厚を厚くし、逆に、一見、強度が重要そうに見えるブレードフロント部は、意外に負荷を受けにくいことから、その部分の肉厚をそぎ落とすことによって軽量化を図り、びびりを抑制する。結果、従来よりも突き出し量を長くすることができるのが、最大の特長」
チップには高剛性・高生産性を実現する新しい独自のレール形状のチップクランプを採用。また3方向にレール形状を採用し、より強固にクランプしてチップの動きを最小限に抑制する。
「端面溝入れでは、チップ幅3、4㎜に対して、深さ30㎜以上の加工をしたいという依頼をよく受けるが、従来では標準品でも特殊品でも対応できなかったが、コロターンQFでは4㎜幅でも最大38㎜まで付き出せるようになり、テーラーメード(順標準品)では42㎜まで対応可能になった」
さらに、ホルダ内部を通じて、逃げ面・すくい面の双方からクーラントを供給する。特に、端面溝入れ加工で問題となりやすい切りくず排出性の向上、優れた加工面品質が可能となり、切削しているエリアへのダイレクトなクーラント供給により、チップ寿命も向上する。
端面溝入れは、条件が上げにくいなど苦労が多く、困っているユーザーも多い。だが、「専用」となれば、「それしか使えない」が最初の印象となりがちだが、逆に、Oリング溝入れ加工など「そこだけ」を手掛けているユーザーにとっては、かなりの最適工具になり得そうだ。
2018年6月27日