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【連載】ボーリング加工のノウハウ〔Ⅳ〕/清水浩

ユーザー通信 WEB版

ツーリングコンシェルジュ・清水浩の『切削工具の加工実践技術』

「ボーリング加工のノウハウ」の要点の列記を続けます。

▬押し付け加工はカエリが発生しやすく、挿入部品にカジリが発生する時がある。あらかじめ対策を考える。

▬工具寿命は刃先摩耗形状や摩耗量で決まるのではなく、作業者の判断や考え方により決められ、定量的でない場合が多い。

▬ツーリング技術者は、切削理論の能力と共に現場を熟知した人材が重要。

▬加工現場を熟知している品質関係者が存在すると、生産活動はスムーズに運ぶ。

▬工具メーカーの「工具摩耗形態」はユーザーには興味深い図示だが、形態と寿命や面粗さはには合理性が低いと思われる。

▬加工ラインにおいて、内径測定は栓ゲージ、マイクロメータ、エアー・電気マイクロメータなのか、はっきりすることが大切(それぞれに測定データに差が出る)。

▬検査データは一度のみ測定したものが多い。3回は測定したい。また、測定しているところを現地確認すること(検査の状況は自分のイメージと異なることが多い)。

▬長尺アーバにおいて、先端部の外径とブッシュ内径が現行の場合、工具メーカーは両者の測定寸法を保管すること。後日のトラブル対策になる。

▬L/Dの値は小さいほど、加工精度や加工能力等は高い。ビビりや粗さ不良の発生時に論議になるので事前に確認する。

▬寸法調整用の鞍型ゲージは当り面積が少ないと効果はなく、かつ堅型は落下するので磁石式は有効(超硬アーバは不可・・・磁化しない)。

(続く)〈清水浩〉

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