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奈良商品開発センタ内に「AMイノベーションセンタ」開所、革新的な製品開発をサポート

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DMG森精機(グローバル本社=東京都江東区、森雅彦社長)は、2025年4月より、第二本社である奈良商品開発センタの1階に、最新のAM(Additive Manufacturing)機を設置し、新たに「AMイノベーションセンタ」を開所した。創業の地である奈良で、同じく4月に世界最大級のシステムソリューション工場として稼働を開始する奈良事業所(大和郡山市)とともに、最先端の技術を顧客に提供する。


▲AMイノベーションセンタ内の様子

金属積層造形技術は、従来の切削加工では困難な形状を造形できるため、世界的に急速な進化を遂げており、航空・宇宙、医療、自動車などの分野での応用が拡大している。一から部品を作り上げるだけでなく、修理や補修の用途でも活用が進んでおり、廃棄物やエネルギー消費の削減にも貢献している。DMG森精機は、2022年に伊賀グローバルソリューションセンタ、東京グローバルソリューションセンタ内に「AM Lab&Fab」を開設し、顧客の金属積層造形の活用をサポートする受託加工サービスを行っていた。そこから、受託加工にとどまらず、積層造形技術に基づいて構想設計を行い、自社製工作機械の内製部品の量産に活用するまで、適用範囲がますます拡大している。この知見を用いて、顧客側の部品の機能向上、技術革新へと展開していく。

同施設では、DED(Directed Energy Deposition)方式とSLM(Selective Laser Melting)方式の2種類の金属積層造形機を5台設置している。顧客の多様なニーズに対して、エンジニアがDfAM(Design for Additive Manufacturing)により、革新的で創造的な形状の最適設計から積層条件の提案、実際の造形まで行う。また、積層造形の前後工程で必要な粉末保管庫や3Dスキャナーなどの周辺機器も設置しており、AMのショールームとしての役割だけでなく、実際に最先端の金属積層技術を用いて、顧客の製品開発から生産準備、検証までの一連のプロセスを体感できる。


▲顧客に提案を行うエンジニア

さらに、AMイノベーションセンタにはAMの基礎から最先端技術までを学ぶことができる動画・コンテンツや、実用事例として30種類以上のワークを展示している。また、産学連携の取り組みとして、慶応義塾大学との共同開発プロジェクトも紹介している。

DMG森精機は、2025年4月1日付けでAM事業のさらなる強化を目的に、DMG森精機Additive(本社=奈良市三条本町、下川勝久社長)を設立した。この度設立したAMイノベーションセンタをグローバルのAM技術開発の中心拠点として、さらなる普及・発展に寄与し、顧客の生産性向上とビジネスの拡大をサポートしていく。


▲LASERTEC 30 SLM 3rd Generation      ▲スクリューシャフト 積層の様子

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