2023山善親交会 今期売上高5500億円、過去最高更新へ/対面力を存分に発揮し「気合の入った営業を」(岸田社長)
売上高(5272億円)、当期利益(125億円)ともに過去最高/23年3月期決算
5月16日、「2023山善親交会」が帝国ホテル大阪を会場に開かれ、仕入先メーカー290社が出席。懇親会まで含めれば4年ぶりのフルリアル開催となった中、開会あいさつには長尾雄次会長が立った。
山善(本社=大阪市西区立売堀)の第6代社長として過ごした6年間を長尾会長は、「社長在任中は様々な経済ショックと禁欲生活に見舞われながらも(売上高5千億円台到達など)大いにツキもあった。ツキも実力のうちというが、どんな時も変わらぬ皆さまからのご支援があったからこそ」と感謝の意を示し、「私の信念は『善は急げ。まだ、はもうない』であり、乗り越えるべき課題は少なくないが、当社の長期ビジョンにおいて、そのプロセスを歩み、達成に導くのが岸田社長だと確信している。ぜひ『Team岸田』に期待してほしい」と、社長交代のタイミング、狙いにふれるとともに、新社長へエールを贈った。
これを受けて岸田貢司社長はあいさつを兼ね、5月12日付で発表した2023年3月期(第77期)決算のポイントおよび今年度(24年3月期/第78期)の取り組み等について説明した。
23年3月期の連結業績は、売上高5272億6300万円(前期比5・1%増)、営業利益165億6300万円(同3・3%減)、経常利益172億8千万円(同1・1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益125億2700万円(同4・2%増)。セグメント別の業績では、生産財関連事業の売上高は3532億300万円(前年比6・7%増)、営業利益は139億6500万円(同2・9%増)。このうち、機械事業部の売上高は国内が884億9800万円(同13・1%増)、海外が627億1500万円(同3・4%減)。機工事業部は国内が1683億3800万円(同4・9%増)、海外が336億5千万円(同22・9%増)。消費財関連事業は、住建事業部の売上高は680億3100万円(前期比9・4%増)、営業利益は23億4100万円(同4・0%増)、家庭機器事業部の売上高は1007億1100万円(同4・0%減)、営業利益は49億6千万円(同14・4%減)。
岸田社長は、「連結業績では売上高、当期利益ともに過去最高の結果となった。生産財は増収増益、消費財の住建においては増収増益で売上高、営業利益ともに記録を更新した。家庭機器は減収減益となってはいるが、コロナ禍元年(20年)・次年(21年)にあった非常に大きい『巣ごもり需要』と比較すればダウン傾向にあった。しかし、厳しい状況にある中でも1千億円の売上ラインを突破していることは評価できる」と詳報した。
機工事業部を組織再編「産業ソリューション部」と「ツール&エンジニアリング事業部」発足
引き続き、岸田社長により語られた今期トピックから「機工事業部の再編」と「400億円の成長投資枠」にフューチャーすれば、まず機工事業部については、今年4月から分割し「産業ソリューション事業部」と「ツール&エンジニアリング事業部」を発足し「エンジニアリング力」と「専門性」を最大化し、強化していく体制に変えた。機工事業部は旧・産業システムと旧・工具部を12年に統合した大型事業部だったが、よりビジネスに専門性が問われる時代となる中、山善が掲げる「変化対応業」を標榜すべく、思い切って分割を決断した。「具体的には、産業ソリューション事業部は自動化提案や環境ビジネスなどのソリューション営業を強化し、ツール&エンジニアリング事業部は当社の得意とする『対面営業力、気合の入った営業』を存分に発揮することに加え、EDI(電子データ交換)、物流投資の加速など、市場ニーズを鑑みたハイブリッド営業を展開していく」。また、持続的成長に向けた投資枠として400億円を設定。中期経営計画(22~25年の3ヶ年)の投資予算枠の内訳は、事業(アライアンス含むM&A、新規事業)に200億円、DX・システムに100億円、設備(物流設備等)に100億円とし、東大阪市で来年(25年)1月に本格稼働開始をめざす戦略物流拠点「新ロジス大阪」など物流基盤の整備に言及した。
その上で、24年3月期の連結業績は、過去最高を更新する「大変アグレッシブな数字」である売上高5500億円、営業利益150億円、経常利益150億円、当期純利益100億円を予想する。さらに、3ヵ年の中期経営計画の最終年度となる25年3月期の業績は、連結売上高6000億円、営業利益210億円、経常利益210億円、当期純利益140億円を目指す。
7代目のバトンを受け取った岸田社長は、自身の人生訓である「進取果敢」のほかにも、「Fry Higher Fly Faster Fly Further」(距離だけではなく目的に向かってしっかりと飛ぶ、その答えをだそう)、「The Proactive Company」(リアクションではなく、常に先回りに行動する)など効果的な言葉使いをみせながら、パーパスとして制定する「ともに、未来を切拓く」の実践を、出席メーカーに向け呼びかけた。
▲岸田社長は効果的な言葉使いをみせ取り組み説明に引き込んだ
2023年6月21日