タンガロイ 焼入れ鋼の倍速切削を実現、新発想の仕上げ加工用CBNインサートを開発
タンガロイ(本社=福島県いわき市、木下聡社長)は、焼入れ鋼の仕上げ加工用に、新発想の『Tungcut』(タング・カット) CBNインサート「STH形」を開発し、販売を開始した。
焼入れ鋼の外径仕上げ旋削加工では、通常ISO形状のCBNインサートが使用される。ISO形状のインサートは、コーナRが大きくてもR=2・4㎜で、非常に高い面粗さが求められる場合、送りが上げられず加工時間の短縮が困難だった。また、シャフトで凹形状などがある底部分の仕上加工では、干渉を避けるために左右2本の工具が必要となる。Tungcut CBNインサート STH形(計2アイテム)は、これらの課題をまったく新しい発想で解消する。
基本形状は従来のTungcut用溝入れ用インサートを踏襲しているが、STH形は横送りすることで仕上げ加工を行う。さらに、切れ刃の正面側に曲率半径の大きなワイパー切れ刃を備えており、0・1㎜程度の切込みと、最大1・5㎜/revの超高送り条件で使用することで非常に優れた加工面粗さが得られる。
加えて、切れ刃の側面側に施されたワイパー切れ刃により、立壁の仕上げ加工でも威力を発揮する。さらには、ろう付け面積を広くできる「WavyJoint」(ウェイビー・ジョイント)形状を採用したことで、高送り加工でも切削熱によるろう材の軟化を防ぐ。
STH形インサートは、溝入れ加工用工具Tungcutのインサートと互換性を持たせており、インサートシートサイズ3または5を備えるホルダに装着して使用でき、ホルダの選択によって、外径加工だけでなく、端面や、内径の仕上げ加工にも対応が可能など、新発想のSTH形インサートは、焼入れ鋼の外径仕上げ加工の効率を劇的に改善し、ユーザーの生産性を向上する。
2022年2月14日