ユーザー通信232号4面 「DIAEDGE特約店会」を初リモート開催 三菱マテリアル
「DIAEDGE特約店会」を初リモート開催 三菱マテリアル
今年度は2017年レベルの売上計画、V字回復目指す(田中加工事業カンパニープレジデント)
マーケティング機能強化とデジタル機能活用に注力
三菱マテリアル(本社=東京都千代田区丸の内)は5月28日、国内流通特約店会「DIAEDGE特約店会」を初となるリモートにて開催した。
例年はエリアごとに関係者がホテルに一堂に会し開催していた同特約店会は、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響によりやむを得ず中止としたが、今年は感染症対策を万全にオンラインでの開催とし、全国各地からリモートにて、特約店204社、代理店18社が参加した。
最初に、三菱マテリアル 執行役常務 田中徹也加工事業カンパニープレジデントが挨拶を兼ね、三菱マテリアルおよび加工事業カンパニーの経営方針や現状について、概ね、次のように説明した。
戦略市場でのトップ3サプライヤーになることを目標とし、そのための長期戦略としては、クリーンなものづくりの推進、先端技術を活用した高効率製品の提供、高機能粉末事業の展開を掲げる。
2022年中期経営戦略については、超硬リサイクルの拡大と再生可能エネルギーの活用、高効率工具とデジタルソリューションの提供、スマートファクトリー化と物流・供給の効率化、電池市場向け高機能粉末事業の拡大を具体的施策とし、22年度末に、これら戦略市場の攻略に向けデジタル市場を活用し、競争力あるグローバルな事業基盤の構築を到達目標とする。
その重点施策は、顧客課題解決へつながる新技術の活用と新サービスの展開・拡大、グローバル供給体制・機能の充実化であり、競争力あるグローバルな事業基盤の構築をもとに、戦略市場の攻略に取り組んでいく。
特にマーケティング機能の強化およびデジタル機能を活用した技術診断とシミュレーションについて注力する。
超硬事業の売上高推移は、2017年を基準とした指数で、近年では18年がピークであった。19年には米中貿易戦争の影響を受け減少、その後20年は周知のとおり新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きく落ち込んでいる。
今年度についてはコロナ禍以前の水準を上回るレベルの販売を計画、V字回復となるよう取り組んでいく。また、30年度における長期計画では昨年売り上げの約倍増を目指す目標を掲げる。
産業別売上高伸び率では、自動車、航空宇宙、医療の3分野において、いずれも昨年度は大きく販売は減少しているが、中でも航空宇宙の需要が減少した。
タングステンリサイクル率は約42%、国内の超硬スクラップの回収推移は順調に増えている。
新製品紹介では、ミーリング加工用コーテッド超硬材種『MV1020』をピックアップし、農業用機械部品を被削材とするユーザーでの加工事例を示しながら、「全ての領域とはいわないまでも、ハマると凄い性能を発揮する」と拡販を促した。
インサートの受注は、18年をピークとして以降、右肩下がりとなっており、20年下期は生産能力を上回り急激に受注が回復したことで、一部の製品に欠品、納期遅延の状況が生まれた。21年通期で人的補充、設備投資も含めて従来以上の生産能力を確保、増強し、安心した製品供給を図る。
続いて、20年度の年間表彰店の発表に先立ち、プレゼンターの金子善昭営業本部長は、世界の景気動向についてふれ、経済回復、企業活動が堅調に進む中国、米国に比べ、「世界から見ても日本は回復が遅れている中、切削工具メーカーにとって最大の需要先である自動車産業は、昨年4・5月あたりを底に、世界生産で見ても急激に回復を遂げている。
今年度中に19年ピーク時のレベルにまで戻るのは難しい状況だが、現状の予測では、かなりのレベルまでキャッチアップできるのではないか」と期待を示し、「半導体不足に係る懸念もあるものの、いずれにせよ、自動車産業が回復基調にあるのは非常に心強い」と挨拶し、表彰へ移った。
表彰は、DIAEDGEパートナーオブザイヤー賞、同フロンティアスピリット賞、同チャレンジングスピリット賞、同リサイクル賞の計4部門で行われ、3部門で受賞した新栄商会(愛知)がリモート画面を介し、代表表彰された。
これを受け、新栄商会の時津達也社長は、「名古屋においても緊急事態宣言が発令中であり、日頃の営業活動に様々な制限、制約がかかっている状況下でも最大限の成果を出せるよう、三菱DIAEDGE製品のさらなる拡販に努めていく」と話し、受賞挨拶とした。
最後に、三菱マテリアル 加工事業カンパニー 営業本部 国内営業統括部の木田喜久部長が21年度活動方針を説明した。
木田部長はまず昨年度を、コロナ感染影響による広範囲かつ長期にわたる行動制限により営業活動にも多大な影響が出たこと、大手ユーザーの投資激減の影響により、流通、直需ともに10~20%の販売減となったこと、そして下期以降の需要回復局面で生産の立ち遅れがあり、主にインサートの欠品が発生してしまったことを挙げ、振り返った。
その上で今年度は、「お客様方、社員の安全・健康を最優先に行動する」を大前提に、昨年は十分に取り組めなかったサマーキャンペーンなど充実した内容での拡販セールの展開、エリアのプロフェッショナルとして特約店・代理店・メーカー三位一体での取り組み、そして「製造と協働し、欠品の早期解消に努める」と言及。さらに、加工技術センターでの「リモート立合い試験」「切削アカデミーオンライン」等の紹介、今年度発売品・発売予定品等に関し語った。
2021年6月30日