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戦略としての 「BCPのすゝめ」 企業間取引でいまや「必須」のBCP ―全機工連 関西ブロック会議でテーマに

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 3月11日といえば、東日本大震災の発生から6年となるが、1ヶ月前の2月9日、全機工連(全日本機械工具商連合会)の関西ブロック会議がシティプラザ大阪(大阪市中央区本町橋)で開かれた。
 折しも、その1週間後には、事務用品通販会社の倉庫火災が延々6日間続くニュースもあっただけに、今回の議題、「BCP(事業継続計画)について」は、否が応にも考えさせられるテーマとなった。
 事業継続計画=BCP(Business continuity plan)とは、「企業が、災害や事故などの予期せぬ事態の発生で危機的状況に陥った時、限られた経営資源で最低限の事業活動を継続、あるいは目標復旧時間内の再開を果たすために、事前に策定される行動計画」である。
 前西孝夫(エバオン会長)全機工連会長および大阪機械器具卸商協同組合理事長、河田徹(河田機工社長)関西ブロック長両名のあいさつ、全機工連 一條茂事務局長の報告、経営コンサルタント 平松直起氏の講演内容、そして会議出席者(卸商、直需店、関係者ら35名)の発言内容を総合すれば、次の通りとなる。
 
 BCPについて全機工連では、昨年10月の全国大会(東京大会)や、今年の年頭所感などでふれているが、その大きなきっかけとなったのが、昨年4月の熊本地震だった。
 熊本組合によれば、その際、事業継続計画活用の取り組み方いかんによって、復興の企業差が出たという。
 昨年はほかにも、茨城の水害、北海道の台風被害、鳥取地震、最後に新潟・糸魚川大規模火災など、災害が立て続いた。
 被災すればゼロからではなく、実質は、マイナスからの出発になってしまうのだが、大企業はともかく、中小企業にとっては、災害を想定したBCP策定の必要性を感じつつも、個々の会社で取り組む土壌が、なかなか出来ていないのが現状である。
 「Continuty」は継続の意味。継続のプランする―は10年前では、海外では多かったものの、日本ではほとんど出来ていなかった。
 だが最近の国内大手企業では、BCPを策定している企業と取り引きしようという、立派な「戦略」として考えられている。
 何か有事の場合、その会社が果たして復帰できるのか? などが取り引きの基準となり、ペナルティ制度を設ける会社も出現している。


 東日本大震災で痛手を被ったのはデンソー系、つまり自動車産業が多かった。自動車メーカーの生産が滞るなどさまざまな影響があったが、ならば事前にBCPをしっかり策定し、その上での取り引きを円滑に行っていく、それが今後の企業としてのあり方ではないか。
 東日本大震災以降、こういった動き、「BCPの大切さ」が大手企業を中心に構築されていっており、いまやBCPを策定していなければ、サプライチェーンとして繋がっていけない・・・というところまできている。
 企業とはまず、「継続することが大事」。
 BCPは、自社(社内)向けの計画と対外的な計画に大別されるが、これが正しいという形式は存在しない。「相手方に理解いただける」というものであればOKである。
 「予期せぬ事態の発生」には、パンデミック(感染症、伝染病)やインフルエンザも最近では入ってきている。
 30人規模の会社で、例えば、インフルエンザで10人休めば運営が厳しなる。こういった際に、誰もが複数の仕事がこなせるようにローテーション制度を採る、また上司の代行ができる社員配置など、役割分担を機能させるのもBCP。
 「危機的状況」とは倒産である。阪神淡路、東日本・・・被災で倒産となったケースも多い。資金面カバーができない、客離れが進む、といったなか、東日本大震災では「3ヶ月で復帰」できるかどうかがポイントになった。
 併せて、企業間連携も大事な要素になってくる。
 以上のことから、BCPとは簡単にいえば、「何かあった場合に『ひと・もの・かね』をどのようにしていくかの計画をつくる」となる。
 さて、災害発生時の心配事となれば、直需店からすれば卸商からの商品供給の状況である。
 トラスコ中山では、営業拠点全国73ヶ所、物流センター全国19ヶ所の存在自体が、それこそリスク分散の象徴といえる。
 建物の免震構造や避難訓練の実施のほか、特筆すべき点では、東京本社の浸水対策(防潮板)は、津波はもちろん、所在する新橋は集中豪雨の可能性が非常に高いエリアであることにも起因する。また電気設備は、通常は地下に入る場合が多いが、浸水時に備え全て屋上に設置している。
 加えて、電力は2系統引き込みを実施、ビル窓の下にダンパーが入っており、夏場に空調が途絶えた際の自然空調を可能にしている。
  さらに、昼食用弁当は食中毒に備え、2~3社の複数業者から購入しリスク分散している。
 ジーネットでは、グループ会社合わせ百数十台設置のある飲料自動販売機業者に対し、良い条件の1社にまとめるコンペを実施したところ、こういった場合には、備蓄水・食料すべての提供、賞味期限の管理、安否確認の負担といった、さまざまな事柄をコストをかけずに出来てしまうことに、あらためて気付かされた。
 このことから、自販機ベンダーとの交渉を有効活用することを薦めながらも、「背伸びした危機管理は会社をおかしくする。諦めるところは諦めなければならない」とも説いた。
 

(次回に続く)

 

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