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ユーザー通信221号 4面_01:サンドビック セミナーをオンライン開催 恒例の耐熱合金・チタン合金加工

ユーザー通信 WEB版

サンドビック セミナーをオンライン開催

恒例の耐熱合金・チタン合金加工

次世代合金アルミフライス加工セミナーと合わせ延べ600人が参加

サンドビック コロマントカンパニーは、例年この時期に本社(名古屋市名東区上社)を会場に行っている、恒例の「耐熱合金・チタン合金加工セミナー」を、今回初の試みとしてオンラインで開催した。

その理由はもちろん、世界的に感染が拡大する新型コロナウイルスの影響もさることながら、サンドビックとしては、ますます進む社会的なデジタル化、オンライン化にいち早く対応し、さまざまな地域の顧客に最新の情報や提案を届けたいとの趣旨も含む。

特に耐熱合金・チタン合金といった難削材においては、加工方法によってユーザーの得られる利益が変わってくる業界であることから、サンドビックではこのセミナーを通じて、少しでもユーザーのコスト削減、生産性向上に寄与したいと考えている。

6月のラインナップは、耐熱合金・チタン合金加工 オンラインセミナーの「旋削加工」が16日、「転削加工」が17日、そして「ソリッド工具」が18日にそれぞれ実施され、延べ約450人が参加。

さらに翌週の23・24日には、「次世代アルミ合金フライス加工 オンラインセミナー」が2日間・3回実施され、約150人が参加した。

このうち、耐熱合金・チタン合金加工セミナーの6月18日では、サンドビック コロマントカンパニー サウス&イーストアジア 航空機産業セグメントの川向利和氏が、ソリッドツールの加工適用のポイントを説いた。

耐熱合金・チタン合金特性(高温でも高い強度を維持等)に対する工具への影響(高い刃先での温度等)、必要な工具仕様(ポジティブなスクイ角等)、必要な工具材種(コーティングの密着度等)に始まり、代表的部品加工形状としてスキャロップ、ポケット、ボスおよびその周辺等を挙げ、求められる加工方法としてHigh Speed Machining(ミリング)をピックアップし、切りくず排出率と安全な加工の両立を要点とした。

High Speed Machiningは、小さな径方向の切込みでの優位性を原理に、切刃の温度上昇を抑制、切りくず厚みの減少、たわみの減少といった効果により、高い切削速度、高い送り速度、深い軸方向切込みをアウトプットする。

そのほか、最大切りくず厚みを適正化し一定に保つ、ツールホールディング、プログラミング、適用切削速度、適正最大切りくず厚み、適正径方向切込み、初回推奨切削条件等を解説した。

そのうえで、加工部品への適用例として、ジェットエンジン ケーシングにおけるスキャロップミリング、壁-ボス(アイランド)間荒ミリング、ブリスクにおけるプランジ ミリング、バレルツールでの翼面仕上げ加工について説明した。

続いて、最新ソリッドツール情報として、High Speed Machiningに最適な『CoroMill Plura HFS』による高送り側面フライス加工(High Feed Side milling)について述べた。

耐熱合金(HRSA)、Ti合金の高送り側面フライス加工(HFS)向けに最適化された3つの超硬エンドミルファミリーであるCoroMill Plura HFSは、ひとつはソリッド、もう一方は内部クーラントと冷却強化機構付きの2種類のチタン合金用と耐熱合金用があり、切りくず排出と切削領域における温度のコントロールが難しいチタン材へのタイトなポケット加工のような、難しい加工条件でのチタン加工のためのユニークなソリューション(各フルートに内部クーラント穴を配置等)が特長となる。

このほか、4枚刃設計で工具径10倍までの深いプランジ加工が可能な『Coromill 316 Gannet』、ニッケル基合金において従来の荒加工で最高の生産性と工具寿命を実現する『CoroMill Plura VFD』についてのジオメトリ(形状)、適用領域、製品ラインナップ、切削条件について紹介した。

そして、お知らせとして、「航空機部品加工プロジェクトCAM提案」にふれた。

部品加工の立ち上げでは従来、「見積もり」時点からが工具メーカーの参入タイミングとなっているが、サンドビックではそれ以前の段階である「計画」時点からの参入を提案する。

コンポーネントの初期コンセプトから最適化を行い、プロジェクト立ち上げにかかる初期コストを削減し、1台あたりの加工コストを最小限に抑え、早期回収を可能にする。この技術パッケージには、工具選定・干渉チェック(標準品・特殊品)/切削条件の決定(寿命予測)/ツールパスの提案/CAMプログラム/シミュレーションを共通項に、この5項目のパート対応と、ツールリスト、ツールレイアウト図やタイムスタディ等を含んだ10項目のワンパッケージ対応がある。

さらに最後には、データに基づいた加工のため、知識に基づいた工程計画のためのソリューションである、サンドビックのデジタル加工提案『ColoPlus』(コロプラス)にも言及し、質疑応答を含め60分間にわたるオンラインセミナーを終えた。

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