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ユーザー通信221号 2面:ジーネット・フルサトグループ 環境急変などネガティブインパクト大きく減収減益

ユーザー通信 WEB版

ジーネット・フルサトグループ

環境急変などネガティブインパクト大きく減収減益(20年3月期決算)

ジーネットおよびフルサトグループの決算関連報告が6月22日に同社本社ビル(大阪市中央区)にて行われ、古里龍平社長と大谷秀典常務が会見に臨んだ。

2020年3月期連結業績は、売上高 1046億1900万円(前期比3・0%減収)、営業利益 39億7300万円(同1・7%減益)、経常利益 43億3400万円(同1・9%減益)、親会社株主に帰属する当期純利益 28億800万円(同2・9%減益)の減収減益となった。

18年3月期からスタートした中期経営計画は、定量目標である売上高1080億円・営業利益40億円ともに未達(売上高 96・9%、営業利益 99・3%)で終えた。

「当初計画した数字の達成は、実は今年1月までは、そう難しくないと思っていた」と古里社長。「だが、米中貿易摩擦による影響がかなり顕著となり、昨年10月の消費税増税といったネガティブインパクトが下期を中心に重なってきた。そして、とどのつまりが新型コロナウイルスの感染拡大であり、2・3月は急ブレーキがかかり、日を追うごとに経済状況が悪化していった」と背景を述べた。

売上高は前年比32億5400万円の減収。事業別に見れば、機器工具はグループ企業のセキュリティデザイン(セキュリティ機器の販売や防犯監視システム、入退室管理サービス等)の連結加算も工業機器大幅減により前年比2億4千万円の減収。機械設備は受注大幅減の影響により34億3800万円の減収となるなか、増収となった建築配管資材について古里社長は、「4億2500万円のプラスに留まってしまった」と表現した。

事業セグメント別売上では、工業機器は計画比(91・7%)・前年比(8・2%減)ともに大幅減。機械設備は前年比で14・2%減。うち工作機械は受注の落ち込みにより下期から大きく減少した。

「これは想定内。昨年のスタート時期から受注残が減少しており、受注も一昨年に比べかなり下回っていたので、売り上げが2桁減ることも見据えていた。だが足元の状況はもっと悪い。前年度は14・2%減でどうにか留まったのが本音」と古里社長。

さらに、建築資材が前年比1・6%増だが、「やはり一昨年のような勢いはなくなっている。東京五輪までが端境期といわれていたが、延期となりどうなっていくかは今後の話になる」と続け、建築についても一服状態である旨示唆し、昨年の1年間を振り返った。

そのうえでポイントとして、次の旨付け加えた。

工業機器事業では新型コロナウイルスの影響により「機械加工システム展」(大阪・中部)の開催中止、また自動車向け機械工具事業(岐阜商事)は、「検査・加工治具・金型といった新たな注力分野の伸長とFAシステムによる自動化ラインへのアプローチ強化により、昨年度は比較的健闘したといえる」。

セキュリティ事業においては、「集中投資の分野である位置づけに変わりはなく、できるだけ早く、100億円程度のボリュームにしていきたい」。

工作機械事業の受注額は「大苦戦がまだ続いている」。前年比35・8%減少、期末受注残高は前年比51・2%減少し47億3600万円。

「今下期からの受注増を予想していたが、新型コロナウイルス感染拡大により、その条件が大きく変化してきており、回復にはまだ少し時間を要するだろう」。

また、中期経営計画(2017年4月~2020年3月)の総括、成長戦略を語るなかで古里社長は、自社の技術営業、エンジニアリング機能とシステムインテグレータ(SIer)との協業体制の確立など、エンジニアリング機能強化のための専門性追求を強調した。

「商社だから単にSIerに話を繋げるのではなく、我々が最初にユーザーニーズをくみ取り、我々が簡単な構想図から詳細図に変え、作図し、実際に部品展開図の直前でSIerや部門に投げ、それをお客様にデリバリーし、バグ出し、検収まで上げていくという、ジーネットのグループ内での一気通貫で行ってしまうビジョンをもち動いている」。

古里社長は最後に働き方改革にも言及し、「新型コロナウイルスの大騒動となったこのタイミングではなく、比較的、皆が素直に在宅勤務ができるようになっていた」等テレワークにふれながら、「ひとつの型にはまらず、皆が知恵を出し合って『進化できる組織』を目指している」と纏め、大谷常務による営業戦略の説明にバトンタッチした。

大谷常務は、「かんたん解決ウェビナー」(Webセミナー)、表面温度計測タレット型サーマルカメラ(HIKVISION)、ギガ・セレクション 超硬ドリルDRS等を紹介したあと、新事業として、日本電産シンポとのエンジニアリング・サービス事業(ES事業)における業務提携締結の目的と内容について解説した。

ES事業では生産ライン構築業務のエンジニアリング機能に関する補完および強化への取り組みに加え、ジーネットではモーションコントロール課(MC課)として、日本電産シンポより譲受した「低回転・低トルク」がニーズの減速機であるリングコーン、コロネット減速機のメーカーとしての機能を全うしていく。

「MC課での営業活動を通して、グループ会社とのシナジーが生まれるように活動し、技術営業力をもつ商社を目指す」と大谷常務は展望する。

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