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ユーザー通信208号 8面 三菱マテリアル 『DIAEDGE特約店会』開催

ユーザー通信 WEB版

三菱マテリアル
『DIAEDGE特約店会』開催

流通営業部のハイレベルでの実績推移(9%増)を報告

売上高伸び率は「これからが新たな、本当のスタート」(中村カンパニープレジデント)

三菱マテリアル(本社=東京都千代田区丸の内)の国内流通特約店会が、5月16~24日にかけ、大阪・九州・名古屋・東京の順に各地区で開催され、このうち5月17日にはANAクラウンプラザホテル福岡で「九州DIAEDGE特約店会」が開かれた。

最初に、三菱マテリアル 加工事業カンパニープレジデントの中村伸一常務執行役員が、あいさつを兼ね加工事業の概況説明に立ち、概ね次の旨述べた。

三菱マテリアルのなかで加工(超硬)事業は、市場成長以上に成長が期待されている「成長促進事業」として位置づけられている。

そんな加工事業カンパニーの経営方針にあらためて加わったのが、業務遂行における判断の優先順位としての『SCQDE』=「安全、法令遵守、品質、納期厳守、適正利益」。これを実践することが、「最終的には、DIAEDGEのブランドを、より確固たるものにしていく」。

 

売上高は前年比8%増、今年度は5%増見込む

2018年度の業績についてはまず、全社売上高に占める加工事業の比率は10%。「もう幾分かのベースアップに臨みたい」としながらも、対前年比では1%上昇した。

超硬製品の売上高推移では、16年(19年中期経営計画策定時)の実績を100とした場合の指数比で18年度は123。「16年以降、確実に右肩上がりに成長」しており、全社で前年比で約4%増、超硬事業においては約8%増の力強い数字を示している。今年度(19年度)はさらに約5%(18年度比)の伸びをめざす。

そんななか、国内流通営業部の実績が着実に伸長しており、9%増という高いレベルで推移。今年度の計画でも国内流通営業への期待は大きく、「国内流通営業の成長なくして、我々の成長はない」。

主要工具メーカーの売上高伸び率との比較で見れば、11年時は、東日本大震災での筑波製作所の被災、そしてタイ工場(MMCツールズ・タイランド)の洪水被害より供給網が分断された時期もあったが、16年頃からは他社平均と同様の成長ができているが、冒頭ふれたように、「市場成長以上の成長」が大きなミッションとして課せられている以上、「これからが新たな、本当なスタート」だといえる。

産業別売上高伸び率では、自動車、航空宇宙、医療、金型の主要4産業とも国内外で実績が伸長。なかでも航空宇宙は、16年を100とした指数で18年は139。対前年比では国内で23%増で、「絶対規模としては決して大きいとはいえないものの、著しい伸長率を示しており、現在掲げるこの施策は今後も強く推し進めていく」。

その成長のため、19年度の積極的な投資計画として、およそ半分が、インサートライン増産、超硬ドリル増産、超硬エンドミル増産、合金素材増産といった生産能力アップの内訳となっている。

「昨年度も17年比で約3割の投資額を増やし設備を増強したが、設備納期の長期化や需要が想定よりも上振れたことなどで、供給のタイムリーさに欠ける状況を招いたと認識している。それぞれの製造拠点で、設備増強の効果が今年度から発揮できる」。

加えて、物流センター間の在庫を自動移動させ、欠品リスクを最小化するなど、物流体制の見直しによる商品の安定供給にも取り組んでいく。

主要製品在庫サービス率は、足元では90%を下回る製品がいくつかあるが、生産設備(能力)+物流体制+品質改善により、目標である98%をめざす。

新製品化率の目標を35%へ

また、提案力をさらにレベルアップするための新製品化率は現状、販売全体のなかで約25%を占めるが、新製品に投入しているさまざまなコスト見合いからすれば、新製品化率を24%から35%を目標とし、競争力を高める。

「国内で勝てないメーカーは世界でも勝てない」(金子営業本部長)

次に、営業本部の金子善昭本部長が年間表彰店の発表に先立ち、「18年度は非常に良い年だった」と追随しながらも、「今年に入ってからの環境は、明らかに変わってきている」とあいさつ。続けて、超硬事業の販売部門が抱える喫緊の課題として、次の3つを挙げた。

「一つめが、当社製品は世界65ヶ国以上で供給しているが、エリアによっては低成長時代となる中で、事業を持続的にどう成長、拡大していくか。そんな中での営業としての生産性向上が二つめ。そして三つめが、やはり人材が大切、財産であることから、人事戦略や人材育成」。

このうち人材については、女性活用推進を例に、「過去2年で女性の切削工具の営業マンを採用し、活動しはじめている。女性に限らず海外人材の取り入れの必要性など、こういった人材の流動化を図ることにより、新しい事業の方向性を見出す機会にもなると期待している」とも言及した。

さらに、「より、エリアと産業を軸に」販売活動体制を徹底的に強化するため、営業体制の見直し、機動力ある組織に変えていくとし、「日本国内で勝てないメーカーは世界に出ても勝てない」と締め括り、表彰へと移った。

自動盤・小型旋盤ユーザーの需要に注力

最後に、営業本部 流通営業部の堀江武夫部長により、「主力販売店店内シェア№1奪取」を掲げる今年度の流通営業部の方針を、拡販セール(サマーキャンペーン)告知等を織り交ぜ、説明した。

13年4月を100とした指数表示による全国受注推移では、18年度実績は前年度比111%、19年度は前年度比106%を計画。キャラバンカーに新商品を積み込み事業所を訪問し拡販、PRするキャラバン活動は、展示品・加工ワークを搭載し、新規のユーザーやキャラバン未実施の特約店での取り組みを重視した活動を継続する(19年度目標は工数・330日、訪問件数・2300件、売上金額・4億6500万円)。

自動盤ユーザーへのツール選定も含めたPMG(パーツマシニンググループ)活動では、近年、自動車部品分野での環境対策や電動化技術の向上に伴い、アクチュエータを始めとした各種制御系小物部品が増加し、自動盤および6インチ以下の小型旋盤の出荷台数は年々伸長、需要が拡大していることから、小物部品加工用工具の実績については、18年上期を100とした指数で19年上期で165、下期で196をめざす。

中部テクニカルセンター(岐阜県安八郡神戸町)の18年度活用状況は、訪問計284人(加工テスト36人、講習会・勉強会128人、見学会120人)。なお、6月7~8日には2度目となるオープンハウスを予定している。

ほか重点テーマとして、航空宇宙部・開発本部・製造本部との連携したユーザー攻略活動、新製品拡販(VPX、WJX、DLE、GWなど)、目標を明確にした「全員参加型のセール」の推進などが語られた。

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