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ヒノデHD、鋳鉄×ミネラルキャスティング「ハイブリッド技術」を発表 工作機械やロボット加工機のさらなる高速化・高精度化の実現に寄与

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ヒノデホールディングス(本社=福岡市博多区、浦上紀之社長)は、半導体製造装置、工作機械など各種産業用機械の高速化・高精度化に寄与する、高剛性・高減衰性を実現した新しいソリューション技術を開発し、10月4日、ヒノデグローバルイノベーションセンター(佐賀県みやき町)にて発表、説明会を行った。説明会では、産業機械業界では高速化、高精度化に大きな課題があることから、今回発表した振動抑制のソリューションはその改善につながるという点で注目したパナソニックコネクトとの共創、東京大学との共同研究の成果を報告した。

半導体製造装置や工作機械をいま以上に高速化・高精度化させるには、機械の動作時に発生する振動の抑制が 鍵となる。振動を抑制するためには、機械本体の剛性は維持しつつ減衰性を高める必要があるが、その実現には、材料面や構造面といった源流から見直さなければならない。 しかし、一般的に使われている鋳鉄や鋼材、加えて、欧州メーカーのハイエンド機に使われるミネラルキャスティング材料では、剛性と減衰性はトレードオフの関係にあり、構造設計だけで解決するには限界があった。このような背景のもと、このたび、剛性に優れる鋳鉄と減衰性に優れるミネラルキャスティングの「ハイブリッド技術」、および普通鋳鉄(FC250)と比較し、約2・5倍(FC250を1とした場合/ヒノデHD実施試験結果の比較)の減衰性を持つ「高減衰鋳鉄」の2種類の技術・材料を開発した。半導体製造装置や工作機械をはじめ、CTやMRIなどの医療機器、精密測定機器、さらにはロボット加工機において、各部位に求められる要求性能に応じ、鋳鉄、ミネラルキャスティング、新技術であるハイブリッド技術、高減衰鋳鉄を最適に使い分けることで、さらなる高速化・高精度化の実現に寄与する。

工作機械の高速化・高精度化ニーズにおいては、航空宇宙部品や医療機器部品、光学金型、電子機器でも、微細加工による高精度化が求められており、その実現のため、制御技術や作業環境保全(振動や温度・湿度管理)に加え、加工時に発生する振動を抑制する機械自体の制振性向上に取り組まれている。ヒノデHDはこれまで製品メーカーとして、また鋳物メーカーとしての製造制約などを組み込んだ設計/解析技術やノウハウを蓄積している。近年では多くの各種産業機械メーカーと協働し、顧客の鋳物構造体の形状最適化 (高剛性、軽量化、耐久性向上など)に取り組んできており、この解析ノウハウを振動にまで拡張することで、顧客に高速化・高精度化の側面で最適な形状を提案することができると考えている。ヒノデHDの産業用鋳物セグメントでの近年の活動実績では、「牧野フライス製作所・田島軽金属と共同で高剛性アルミ鋳鉄合金(ATHIUM)を発表」(2020年12月)、「ミツトヨと鋳造部品供給・鋳造技術共同研究などの事業提携契約を締結」(2021年10月)等々がある。


▲ポジショニング図              ▲鋳鉄×ミネラルキャスティング ハイブリッド技術の適用例

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