サンドビックのAI × 彫刻界の巨匠/『不可能を可能にする彫像』発表 デジタルソリューションと切削工具にわたる卓越した能力示す
ロダン、高村光太郎ら芸術家5人のスタイルを融合し具体化
サンドビックは、AI最先端ソフトウェアソリューション、最先端の製造技術を駆使して創られた、現代のエンジニアリングの傑作である『不可能を可能にする彫像』を発表した。
スウェーデンの国立科学技術博物館・テクニスカに展示されているこの芸術作品は、 500年の時間を隔てた偉大な芸術家5人、ミケランジェロ(伊)、ロダン(仏)、コルヴィッツ(独)、高村光太郎(日)、サヴェージ(米)の作品を基にしてつくられており、AIのモデリング機能と最新の製造ソリューションの革新的な活用により実現した。この彫像は、「ミケランジェロのダイナミックなオフバランスポーズ」「ロダンの筋肉と黙想」「コルヴィッツの表現派の感性」「高村光太郎の活力と質量へのこだわり」「サヴェージの人物に見られる反骨精神」といった5人それぞれの特性バランスに配慮しながら、多数のAiモデルをトレーニングすることで設計された。
製造工程はそれぞれの材料を切削する前にシミュレーションにおいて徹底的にテストされ、サンドビックのエンド・トゥー・エンドのデジタル加工能力の可能性を示し、サンドビック・コロマントの旋削、フライス、穴あけ工具を使用して、17個の部品を加工した。この方法は、 良好な加工面品質のため他の方法より優れた方法と判断され、完成品のパーツ間の交差部分は精度が極めて高いため、肉眼ではほとんど確認できない。彫像を分割することにより、必要となる鋼材量の大幅減を実現した。さらに、加工前のステンレス鋼から除去された材料は全て、 このプロジェクトのために材料を供給したAlleima社によりリサイクルされた。
完成した彫像は、重さ500㎏、高さ150㎝。デジタル設計との誤差は30マイクロメートル(0・03㎜)未満で、その大きさと3Dモデルの複雑さを考えると、驚くべき数値だといえる。これは例えば、スイス製時計の製造に求められる精度と同じで、最適な彫像製造方法の仮想シミュレーション、デジタルツインテクノロジーとツールパス最適化技術を活用して達成されたものである。
サンドビック・マシニング・ソリューションのナディーン・クラウヴェルス社長は、「当社はデジタルソリューションと切削工具にわたる卓越した能力により、効率と持続可能性を改善するのに絶好の立場にある」とした上で、次のように述べている。「私たちが日々お客様に価値を提供するために用いている加工と同じ方法での『不可能を可能にする彫像』の作製は、そのことを示すために実現したものである。全ての可能性を活用することで製造効率を大幅に改善し、無駄を省き、加工の各工程において最高の品質を確保することができた」。
▲「Impossible Statue」
2023年8月2日