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ユーザー通信245号 3面: DMG森精機 上半期決算

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懸念は「為替変動より物流高」

  DMG森精機(グローバル本社=東京都江東区・第二本社=奈良市)は、8月4日11時30分に2022年度上半期(1~6月期)の決算情報を開示した。

決算概要は、連結受注2993億円(前年同期比37%増)、売上収益2182億円(同22%増)、営業利益177億円(同73%増)、営業利益率8・1%、当期利益113億円(前年同期比85%増)。同日からは森雅彦社長による決算説明を同社HP上にてオンデマンド配信し、この中で森雅彦社長は決算ハイライトを次のように挙げている。

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 第1・2四半期ともに1500億円前後の受注を獲得しており、この調子で推移すれば年間6千億円程度の受注が視野に入ってきている。受注残高は2440億円へと増加(21年12月末は1640億円)。工作機械にはどうしても受注変動がある。今年、来年といった当面はこの受注ペースが続くと思うが、従来の良品・廉価・短納期のうち、良品は継続していくが、廉価・短納期からは決別する。適切な納期とは、非常にシンプルな機械であれば6ヶ月、複雑な5軸加工機・ミルターンであれば10~12ヶ月、システムものであれば10ヶ月~15ヶ月、場合によっては18ヶ月で納入していくことになる。お客様側としては機械の納期だけではなく、同時に新工場の建設やその機械を使いこなすプログラマーやオペレーター、前後のロジスティクス等を準備する必要があるわけで、工作機械だけを3ヶ月先、4ヶ月先に納入してほしいといった商売からは、当社はもう決別していこうと考えている。これにより受注単価がほぼ5千万円となった。このうち為替の影響部分が10%としても、平均単価は4500万円以上となっており、昨年度の4千万円から比べても大きく伸長している。これは偏に、同時5軸加工機・複合加工機による工程集約、それによる自動化、DX化が進み、さらに円安が寄与した結果である。

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 また、同日12時45分からはオンライン決算会見を開き、質疑応答で森社長は為替の乱高下の影響にふれる一方、劇的に上昇する海上運賃について、「2年前だと40フィートのコンテナで欧州-日本間は100万円弱だった輸送費が今は600万円近くになっている。高止まり状態だと思うが、今後の上下を考えると、為替効果よりも物流コストの上がり下がりが非常に大きく、見えにくい部分がある」と懸念を示した。

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