ユーザー通信:日本ものづくり業界の発展に寄与できる情報媒体 UT-net.jp

新日本工機ユーザー「丸光工機(群馬県)」

ユーザー訪問 ユーザー通信 WEB版

 133sinnihon群馬県みどり市の丸光工機は、昭和52年に創業した。各種ジグや部品の製造からスタートし、やがて自動車向けの溶接ジグの設計製造に着手。技術力と設備力を高め、現在では、精密ジグの設計製造や各種専用機などの部品製作を行っている。

 

 

写真:導入された5面加工機「RB‐3100」。工程集約と自動化に貢献

 最大の特長は、設計から加工、品質保証まで『一気通貫』で行える点。社員数30人弱の少数精鋭だが、5軸MC、立横MC、NC旋盤、放電加工機など工作機械約25種を設備し、ワークサイズで1㎝角の小物ワークから、2・5m×5・5mまでの大物ワークまで、小径穴では0・5㎜の穴あけから対応可能な設備力が「一貫」を支えている。
 豊富な設備を背景に、板金加工や表面処理以外の加工のほぼ全てを社内で行える内製率の高さが、安定した加工品質の高さと短納期、海外勢にも負けない低コストを実現している。また特殊ニーズや特急ニーズへの対応力も高く、「難易度の高いジグ部品は丸光さんに」と同業者間でも一目置かれた存在だ。
 近年、自動車関連産業の海外流出が続いている。溶接用のジグも同様で、ヘミング加工のような仕上げに職人の手仕事を要する工程が前工程に残っている大物のワークや、「品質(=寸法精度)」だけで無く「品位(削り目などの見た目)」をも求められるような精密なジグを除いて、国内製造量は減少方向にある。
 これを背景として、自動車産業では国内の加工業者間で競争が激化し、コスト競争が進行。部品ごとに能力の高い加工業者による寡占化が進む。それぞれが特化して、効率の良い生産を行う状況を整え、コストダウンを進める例が増えている。結果、部品ごとに特定の加工業社に集約されるようになり、自動車業界のヒエラルキーは三角から菱形へと変化している。菱形の最下部がいわゆる勝ち組だ。
 このような中、同社では、前述のような国内に残る仕事への取り組みを進めている。
 「目指しているのは『何でも屋』の加工業者を貫くこと。特定の部品に特化しすぎる事も、オリジナル製品のメーカーを目指すことも考えていない。自動車業界に頼りすぎる事のないように、食品関連などの専用機製造にも取り組んできた。今後は、航空宇宙産業など、より精度を求められる検査ジグや、環境機器、洗浄機のような専用機などの、『品質』だけで無く『品位』も求められる仕事にチャレンジしていきたい」。
 部品の内製率が高い同社にとって『何でも屋』の道は険しい道。多品種少量が当たり前となる中、社内での仕事量は質量共に膨大な量となる。工程の管理と適切な新規設備の投入は重要だ。
 「当社での加工は材料取りから始まり、多岐にわたる。どの機械をどのタイミングで使用して効率よく加工するのか、工程の管理には気を使っている。やりくりで補えない工程が出てくれば、設備投資を考える。顧客ニーズへの対応力の高さを維持するためには、年に2台程度の新規設備の投入を維持していくつもり。『菱形』の下部の頂点を目指すには、近隣の同業者にない設備の導入も重要」。
 同社は、2011年、大物ワークの加工を集約した第3工場を設立した。前述の検査ジグや環境機器関連装置など、大型製品の製造を強化する狙いだ。
 第3工場新築に際し、同社では新しく門型の5面加工機を導入した。いくつかの候補の中で、最終的に選定した機種は新日本工機製の『RB‐3100』。
 「最近、ワークが急激に巨大化と多面化、3次元形状化が進んできた。従来の1面ずつの加工では何回もの段取り替えが必要で、工程の短縮と精度維持のために5面加工機の必要性が高まっていた。新日本さんを選んだのは、サービスの良さを重要視したから。こちらの要望に対し、『それは無理です』と言わずに、ユーザー側に立って製造現場とやり取りしてくれる姿勢を高く評価した。ユニバーサル付の多軸仕様で、大物ワークでも深い部分の溝加工などが簡単に出来る。剛性面もしっかりしている」。
 効率を考えた自動化が、今後の課題だと言う丸山社長。門型機を『効率よく』使う工夫を追及したい、と話す。
 「精度は出しやすい機械だと思う。門型加工機の能力は、大物ワークの加工だけでは無い。1m位のアルミのプレートでは、複数のワークを一気に加工できるようになる。主軸の割出角が、現状、1度毎の割り出しだが、これがもう少し細かな割出し角の調整が利くようになれば、もっと良くなる」
 丸山会長は「この業界は、やり方によってまだまだ伸びる業界だと思う。社長には色々とチャレンジしてもらいたい」と、加工業界はアイデア次第だと話す。丸山社長もその考え方に同調する。
 「『何でも屋』に特化するには、現状、まだ足りない精密ものの加工に対応する能力だと感じている。また、従業員数ももう少し増やしたい。人材を求めて育てながら、精密加工の技術・ノウハウを蓄積し、それらに対応可能な設備の補強を行っていきたい」。
ユーザー通信133号(2013.1.1)掲載

» «