ユーザー通信231号4面:Space BDが『フレンチテック東京賞』受賞
Space BDが『フレンチテック東京賞』受賞
今回の選定受け「ライフサイエンスR&D事業」立ち上げへ
宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BDは、在日フランス商工会議所(CCI France Japon)が主催する「第10回フレンチビジネス大賞」において、『フレンチテック東京賞 2021』を受賞した。
この賞は、宇宙産業に関する功績が高く 評価され、実現性があり、日本でのビジネス拡大を目指す独自のプロジェクトを持つデジタル、イノベーション分野で活躍するスタートアップ企業に贈られる。主要評価項目は、次のとおり。
▽Space BDが目標として掲げる「宇宙の産業化」の実現に向けた、あらゆるプレーヤーの宇宙分野 への呼び込み。
▽「衛星の打上げ」や「宇宙空間での実証実験」を目指す顧客への、宇宙空間へのモノの運搬や実証実験成功に向けた最適なプランの提示。国際宇宙ステーション(ISS)を活用した軌道上実証サービスや小型衛星の打上げ、海外からの衛星部品の輸出入、プロジェクト組成の実施。技術調整から打上げ実現、運用支援までの、トータルサポートの提供。
▽ISS利活用に関するフランスのスタートアップ企業との協業予定。
Space BDはこれまで、日本をリードする衛星打上げサービス事業者として、
①ISS「きぼう」からの衛星放出サービス
②ISS「きぼう」曝露部プラットフォーム利用サービス
③H-ⅡA/H3ロケットを活用した衛星相乗り打上げサービスという3つのサービスラインにおいて、国立研究開発法人宇宙航空研究(JAXA)から公式な打上げサービスプロバイダーとして選定を受けており、これら3つのサービスラインとその他サービスラインを合わせて、52機の衛星打上げサービスを受注、うち9機の打上げを完了した。
今後は、フランスのスタートアップ企業との協業を予定し、引き続き国内外のあらゆる産業のプレーヤーを巻き込み、地球低軌道商業化の実現に向けて、民間事業者の立場から貢献すべく事業開発を進めていく。
『きぼう』利用タンパク質結晶生成実験事業 JAXA唯一の民間パートナーに選定
ライフサイエンスR&D領域に貢献、ISSサービス利用者向けITシステム開発・運用にも参画 さらにSpace BDは、JAXAから「国際宇宙ステーション『きぼう』高品質タンパク質結晶生成実験事業における民間パートナーの選定のための公募型企画提案募集」において、同事業を実施する唯一の民間パートナーとして選定され、5月6日、JAXAと基本協定書を締結した。同事業は、JAXAが進める『きぼう』利用サービスの民間移管の一つとなる。
Space BDは、JAXAが行う高品質タンパク質結晶化実験の運用準備作業の請負を通じて様々なノウ ハウをJAXAから継承しつつ、専用のスマートフォンアプリ等の新たなITシステムの導入によって実験システムの利便性向上・効率化を目指すとともに、提供される一部の実験機会を活用してSpace BD独自のサービスを展開することで、国内外の市場を開拓していく。
JAXAとの同協定は、宇宙空間特有の微小重力環境を活用し、地上実験では得られない高品質なタンパク質の結晶生成を行うもので、高品質な結晶を用いることでタンパク質の立体構造をより詳細に解明することができ、基礎科学の発展のみならず創薬支援を始めとした様々なライフサイエンスの産業応用につながる成果が期待される。
一例として挙げられる創薬分野では、得られた高品質な結晶をもとに明らかにされた創薬標的タンパク質の精密な立体構造情報は、有効な薬剤候補を検索する際の予測精度と計算速度の向上につながり、新薬開発の効率化への貢献が期待される。
創薬以外にも、創「農」薬支援、エネルギーや食糧問題解決への貢献が期待されている産業用酵素(高効率水素生成/分解触媒やバイオマス分解触媒) 等の幅広い研究分野での利用が見込まれるほか、宇宙を題材としたライフサイエンス教育プログラムとしての活用事例も想定される。
Space BDでは協定の締結を受け、すでにJAXA(含む前身のNASDA)と20年以上の提携実績を持ち、独自でも新薬開発やタンパク質研究に係るサポートを展開する丸和栄養食品(奈良・大和郡山市)等とのパートナーシップ関係を結び、宇宙実験にとどまらず地上解析等を含むライフサイエンス分野でのR&Dサービスをワンストップで提供する体制を整えた。
今回締結した協定に基づく船内での新事 業とのシナジーを発揮し、国内外でのISS利用の促進を幅広くリードしていくとともに、宇宙利用と地上実験を融合するかたちでのライフサイエンス分野におけるR&D事業の新規開拓に取り組んでいく。
また、同サービスの開始を契機に、ISSサービス利用者向けITシステムの開発・運用に参画し、「早く」「安く」「簡単な」宇宙利用の実現とそれによる宇宙産業の裾野拡大に貢献していく。
2021年5月31日