ユーザー通信226号 第1面:宇宙の産業化が加速 商社機能も宇宙時代へ―
世界をリードした日本諸産業の発展を担った商社機能+技術力=『宇宙商社』
今年5月、航空自衛隊に大臣直轄部隊として新編されたのが「宇宙作戦隊」―この昭和特撮感あふれるネーミングに血沸き肉躍り、脳裏で東宝マーチがリフレインした人(40歳代後半以降?)も多かったことだろう。
このように「宇宙」に関する話題や報道が、もはや連日あるといっても過言でないほど、宇宙は、より我々の生活に身近なものとなってきた。
そんな中、『宇宙商社』を冠する、Spase BD㈱が11月30日、東京・日本橋室町の宇宙ビジネス拠点「X-NIHONBASHI」にて、経営体制の強化と今後の事業展開に関する記者会見を行った。
宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BDは、2017年の創業以来、「宇宙の産業化」を加速していくことをミッションに掲げ、衛星の打ち上げ、国際宇宙ステーション(ISS)の利活用を主軸とした「ローンチサービス事業」(ISSの日本実験棟「きぼう」を利用した宇宙空間での実験サービス)、宇宙関連機器調達販売サービス、プロジェクト型事業開発サービス、宇宙飛行士訓練方法を利用した教育事業等、あらゆる産業のプレイヤーに対し、宇宙の利活用に関する幅広い事業を国内外で展開している。
登壇者は、Spase BDの代表取締役社長 永崎将利氏、COO 金澤誠氏、CFO 赤澤栄信氏。会見内容は、概ね、金澤氏のCOO就任と赤澤氏が新たにCFOとして参画し今年10月からの新経営体制編成と、今回、個体燃料ロケット「イプシロン」への衛星インテグレーション業務をJAXAより業務受託し、同社が目標としていた、日本の全ての現有打上げ手段への参画が実現した話が軸となったのだが、俄然、記者の気を惹いたのが冠の『宇宙商社』であり、そのネーミングが意図するニュアンスに「共感」せざるを得なかった。永崎社長の「商社感」はこうだ。
―社名のBDはビジネスデベロップメント=事業開発に由来し、私なりに「商社」という言葉を正しく理解すれば、その時々によって手段は変われど、本質は事業開発だろう。
戦後から日本が発展していき「ジャパン・アズ・ナンバー1」といわれた世界が私は非常に好きだ。そんな日本が歩んできた歴史の中では、メーカーと商社の両輪での役割分担が、かつてはしっかりとなされていた。誤解を恐れずにいえば、商社とは「ガツガツと、商売に世界中を駆け回る」この、なんともいえないイメージに憧れ、人生を賭けたいとずっと探していた中で、宇宙というテーマに縁があり、導かれた。宇宙の分野は、まだまだ日本が、技術的に世界のトップを走っていられる産業だと思う―。
冒頭ふれた宇宙作戦隊を世代によっては「日本的でダサい名称」だの「昭和臭い漂う、古臭い名前」と嘲笑する声も多い。商社とて「いにしえの、昭和のビジネスモデル」という意味では同じだろうが、永崎社長のように「あえて」昭和っぽいノリに「響く」ものがある世代、人たちが多いことも、また事実であろう。
2020年12月15日