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ユーザー通信213号_3面:「SINPO デジタル光学式スケール」拡販を本格化 栄華商事 商品説明会を開催

ユーザー通信 WEB版

汎用機の市場統計を紐解き、旋盤実機での取り付け・実演を見学
SINPO
夏総経理が来日

栄華商事(東京都台東区)は10月10日、埼玉グランドホテル本庄を会場に、第1回「SINPO デジタル光学式スケール商品説明会」を開催した。

中国「SINPO」(新天光電)のデジタル光学式スケール(以下、スケール)の日本総代理店である栄華商事は、全国展開での拡販を本格化すべく、兼ねてより、商品説明会の開催を企画していたなか、日本の計測標準の頂点である産総研(産業総合研究所)および法政大学との間で共同研究を実施済みで、昨年6月に計測の信頼性を確保している。

そのうえで、今回はまず東日本エリアを中心に有力機械工具ディーラーらに参加を呼びかけたところ、遠路では東は山形から、また東日本のみならず、西は広島や東大阪から、約30名が参集した。

栄華商事の唐沢龍華社長は、「当社がSIPOのスケール販売を始めてから5年、主に町工場のユーザー様方から好評を得ており、ここ数年は年間100セット以上の販売実績がある。機能はもちろん、品質については共同研究で産総研のお墨付きをいただき、かつリーズナブル。自信を持って拡販に打って出たい」とあいさつした。

加えて、同社の主力事業である、海外への中古工作機械等の輸出について、「これら経験を活かし、工場機械設備の海外への移転での成果も着実に重ねている」とふれ、昨年、今年前半と続いた関東圏の大規模工場での実績にも言及した。

次に、中国・貴州省から初来日したSINPOの夏春麗総経理があいさつに立った。SINPOは欧州企業の技術力のもとで成長を遂げた創業30年余の中国精密機器業界№1の国営企業。

「13の拠点を持ち、日本のほかアメリカ、ドイツ、イギリス、イタリア、シンガポール、インド、ブラジルなど世界50数か国で販売している。スケールは自社生産、自社販売。年間生産能力は8万本」など自社および製品について紹介した。

ここからは栄華商事により、デジタル光学式スケールの市場(史偉亮氏)、価格(吉鹿義洋顧問)やスケール取り付け工事といった具体的な商品説明が続いた。

このうち、市場の概観では、旋盤の生産台数および輸入台数を、2019年度の工作機械統計要覧(日本工作機械工業会)と日本工作機械輸入協会の統計表をもとに作成された資料を引用し、紐解いた。

直近の17年度では、国内生産台数は1万8239台、うちNC装置付きが1万6136台、汎用機が2103台。輸入台数は7221台、うちNC装置付きが4397台、汎用機が2824台。合計で2万5460台、うちNC装置付きが2万533台、汎用機が4927台。

これを15年から3年間で平均すれば2万4728台、うちNC装置付きが2万226台、汎用機が4502台となることから、ひとつの目安として、この「4502台」が市場目標として示された。

もちろん、これは旋盤に限ったシェアであり、フライス盤、研削盤、ボール盤と多岐にわたり市場は拡大する。

そんななか、栄華商事の2015年以降の4年間の販売セット数(カウンター、スケール、取付金具一式)を見れば、15年が20、16年が93、17年には116、18年には187と伸長している。

取付実績はフライス盤55%、旋盤35%の順

割合では、新規取り付けが30%、取り換え・交換が70%。取り付け対象の機械別では、最も多いのがフライス盤で55%を占め、次に旋盤が35%、平面研削盤その他が10%だという。

法政大 吉田教授が技術講演「計測の信頼性を確保」

続いて、今回の説明会開催、そして拡販へ打って出る最大のバックボーンとなった共同研究の経緯、概要説明を兼ね、光学式リニアエンコーダの校正技術に関する研究を題材に、法政大学 理工学部の吉田一朗教授が技術講演を行った。

吉田教授は、修士までは計測・制御の研究、博士からは7年半の民間企業経験を含め、一貫して計測と精密機械設計・開発に関連する研究・開発に携わってきた。現在、研究室では、長く愛着が持てるデザインの解明や自動車のエンジンや摺動面の環境性能を向上させる表面凹凸の研究、精密計測ロボットの研究開発など、設計工学、デザイン、計測学、トライポロジー等を融合させた研究を行っている。

そんな吉田教授は、加工機と計測器の違いを「表裏一体」等とふれながら、計測におけるトレーサビリティ確保の重要性を、「計測器の性能・品質は、出力された数値の信頼性でしか証明できない。計測器においては、顧客からの信頼と知名度がさらに重要」と解説した。

このあと参加者らは、スケールの在庫スペースでもある栄華商事の「本庄・児玉マシンセンター」へバス移動し、スケール取り付け・旋盤での実演や、「かなりの量を在庫し、標準品は即納体制」(吉鹿顧問)という在庫状況を見学。さらには、中古機械展示についても案内がなされた。

なお、来春には同説明会の第2回として西日本エリア向けに大阪での開催を予定している(詳細未定)。

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