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ユーザー通信 209号 抜粋記事 9面全部:サンドビック セミナー

ユーザー通信 WEB版

サンドビック

耐熱合金・チタン合金加工セミナーを開催

「高圧クーラント適用による効果」等を実削デモ加工

サンドビック コロマントカンパニーは6月21日、本社(名古屋市名東区)を会場に、恒例の耐熱合金セミナーを今年は、「耐熱合金・チタン合金加工セミナー2019」として開催した。

航空機産業を主体に耐熱合金加工に対するニーズがますます高まっているなか、サンドビックが長年培ってきた耐熱合金加工の技術ノウハウやコンポーネンとソリューションの提供を含め、旋削・転削・ソリッド工具適用のポイント解説を、終日にわたり、座学講習とプロダクティビティセンターでの実削デモ加工にて行った。

講習に先立ち、山本雅広カンパニーバイスプレジデントは、自身の信条であるという「時は金なり=Time is money」になぞらえながら、「遠路をいとわずのお客様もいらっしゃれば、丸一日を割いての受講でもあり、皆さまの投資(=時間)に見合うよう、製品品質、生産量拡大やコスト削減に向けた加工能率の改善、向上に寄与できればと考えている」とあいさつした。

午前中は旋削加工のポイント、高圧クーラントの適用、コロターンプライムについての講習を行い、午後は旋削の実削デモ加工に続き、転削加工、ソリッド工具加工、それぞれポイントの講習、実削デモ加工といったスケジュールで、このうち、高圧クーラントの適用にフォーカスすれば、概ね、次の内容が説かれた。

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加工現場での主たる問題としてあげられるのが「切りくず処理」であり、切りくずを除去するために機械を停める、切りくずがワークに絡んでしまうことで仕上げ面を傷つけるなど、さまざまな面で問題点となるが、こういった場合は『ハイ・プレッシャー・クーラント』(以下、HPC)技術の使用により解消が可能である。

サンドビックのHPCノズル技術に適合する工具は、チップ形状で比較的よく使用される部位にクーラントが供給(あたる)されるようになっている。

チップと切りくずの間にクーラントが入る設計になっており、くさび効果で切りくずを持ち上げて分断し、長い切りくずでも細かくなる。また、加工するポイントに近いところにクーラントを供給(かける)ことにより切削熱も抑えることができる。

通常、インサートを使用する場合は、正面が平坦なものは少なく、基本的にはチップブレーカが存在するが、形状によっては高い壁のようになっており、クーラントが供給されない場合もある。そういった場合には、HPC専用のチップブレーカをもったチップを用いることにより、クーラントが効果的に狙ったポイントに供給され、切りくず分断と工具寿命の延長、安定した加工により切削速度もアップできる。

サンドビックでは7~8Mpa(メガパスカル)=70~80bar(バール)の領域をHPCと呼び、標準コロマントキャプト・カップリング全てに、ほとんどの機械(ターニングセンタ、マシニングセンタ、複合加工機)に対応している。
そして『ウルトラ・ハイ・プレッシャー・クーラント』(UHPC)とは、10~100MPa(100~1000bar)といった非常に高い圧力の領域を指し、特殊品対応した専用工具にて対応する。

HPCは最大で20PMaまで対応し、クーラントの入り口は1つ、ノズルは複数存在している。UHPCはクーラントノズルが4つあった場合には、その入り口は4つに分かれている。その理由は丸駒チップを使った場合、切りくずの発生するポイントがさまざな箇所となってしまうために、同時にクーラントが吐出してまうと、効果がない場所にまでおよんでしまうので、使用する場所によって、どのクーラントを吐出するかが分かれるように、別々のクーラントチャンネルを持つ形状になっている。

HPCでは切りくずを分断させる圧力は被削材により異なるものの、80barで全ての被削材でカバーできる。なお、200bar対応のクランピングユニットは、切りくず処理が極めて難しい被削材で使用できる。

サンドビックのクーラントシステムには独自の知識が取り込まれており、特にノズルテクノロジーについては、入り口から出口まで同じ径でクーラントが流れているわけではなく、先端側が細くなっている。これは誰もが経験があると思われる「水撒きの際にホースの先を潰すと水が勢いよく遠くまで飛ぶ」のと同じ理屈で、蛇口の開栓を大きくして水圧を上げる必要はなく、その効果を狙ったもので、高い圧力で水を出すことにより流動は速くなるが、先端を潰すことでさらに速くできる。このノズルはスクリューで取り付け、ユーザーの加工の状況に応じて複数径を用意している。

クーラントの吐出方向の影響については、下側からだけよりも上側から、さらに両方からの供給したほうが効果が高い。圧力と工具寿命に対する影響では、例えば、5bar場合に比べ、70barにすることで工具寿命は1・7倍に延び、200barにすればより一層延ばすことができる。

サンドビック製品には、HPCに適合する工具がさまざまな形状で用意され、全ての加工ニーズに使用できる。

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これらを受け、昼休憩を挟み午後では、旋盤でのインコネル718でのHPCを使用した実削デモ加工を行い、実際にその切りくずの形状を目視するに至った。

実削はこのほか、同じく旋削加工ではプライムターニングによる切込み角の工具摩擦に対する影響、転削加工ではポケット加工の加工時間比較、ソリッド工具加工では従来の溝加工とトロコイド加工との違いをデモ加工した。

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