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ユーザー通信203号抜粋 「2019年はグラインディング テクノロジーJAPAN元年」

ユーザー通信 WEB版

新年あけましておめでとうございます。本年も変わらずご通読願えれば幸いです。

 

さて、あと70日もすれば、長らく日本では待望久しかった「研削加工技術」と「工具製造技術」の専門展『Grinding Technology(グラインディング テクノロジー) Japan 2019』(以下、GTJ)の開催が控えている(本紙11面も参照)。

日程は3月18日(月)~20日(水)の3日間、会場は幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬)展示ホール1に、研削盤、研磨盤、砥石、ツルーイング装置、計測機器、周辺機器、工具研削盤、切削工具、切削工具加工技術、切削工具活用技術、切削油、切削油供給装置、切削油ろ過装置ほか、95社が出展(共同含む)を予定している(昨年12月4日時点)。

見どころを整理すれば、周知のとおり「研削」とは、仕上げ工程を担う加工技術であり、高い精度、高い品質が要求されるがゆえ、機械、工具、ソフトウェア、周辺機器には高い性能が、またそれらを操作する作業者には高度な技能が要求される。

そこには、他の加工分野にはないハイレベルなノウハウが多数存在しており、GTJでは、加工現場で課題を抱く来場者が、出展者と最新の技術・知識を挟んでディスカッションし、問題解決のヒントを掴む「課題解決型」の展示会が目指されている。

「研削コンシェルジュ」が常駐

そんななか、中立的な立場で来場者からの疑問や質問に答える専門家「研削コンシェルジュ」が常駐し、特定のメーカーには相談しづらい案件、メーカーではなくアカデミックな方面への理論的な疑問など、研削に関するあらゆる悩みに対応する(事前予約制/会期中10時30分~15時30分)。

常駐する研削コンシェルジュは2名。岡山大学 大学院自然科学研究科の大橋一仁教授(得意分野は研削プロセスの計測技術、難削材の研削加工、研削砥石)と、神奈川県技術アドバイザーの愛恭輔氏(同、超砥粒ホイール活用技術、難加工材)。

またGTJには特別協賛として、再研削業を中心とするメンバーで構成された団体「切削フォーラム21」が参加し、同フォーラムの会員企業は、それぞれに高い研削加工技術、ノウハウを持ち、それらを背景とした独自の製品・技術を提供する。

そして、切削工具製造に関連するさまざまな技術の展示に加え、切削工具の再研削体験実演会を行い、若手技術者を対象に、工具の再研削を体験しながらベテラン技術者が各工程での注意事項をその場で教示する(協力=SiC Tools、ビーティーティー、松澤精工)。

さらにGTJには、研削加工分野を主な研究対象として活動している「砥粒加工学会」が特別協力団体として参加する。研削加工を進展させるためには、技術・技能に加えて、理論的な裏付けが重要であることから、今回は研削加工技術・工具、援用加工、砥石表面計測、加工液、超精密・微細加工等の分野の研究室展示を行うなど、砥粒加工学会は、アカデミックな立場から加工の理論解説をするとともに、研削加工技術の将来についても展望する。

そのほか、連日の催しとして、技能五輪全国大会出場者による精密加工・手仕上げ・組み立ての実演(協力=日立オートモティブシステムズ、岡本工作機械製作所)、出展社による製品・技術発表会、共通テーマを、「研削加工の医療への応用」「切削工具のニーズと対応技術」「研削加工と自動車部品」と分類した各種セミナーなど、多彩に展開される。

現状、我が国における研削や、特に「再研磨業」の実像や実数はつかみにくいとされてきた。それだけに、繰り返しになるが「待望久しかった」グラインディング テクノロジー「日本開催」が、その実態解明(?)を促す、少なからずの試金石「元年」となるよう期待を寄せたい。

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