ユーザー通信:日本ものづくり業界の発展に寄与できる情報媒体 UT-net.jp

Cominix決算説明会 「最大のトピックスはKamogawaのM&A」

ユーザー通信 WEB版

柳川社長「もっとスリムに、素早く、必要なソリューションを投入」、柳川会長「Kamogawaとは何もかも補完関係にある」

Cominixは6月2日、大阪・堺筋本町の本社にて、柳川修一社長をはじめ、柳川重昌会長、林祐介常務(管理本部長)、澤口典宏常務(さくさく社長)らが出席し、2025年3月期決算説明会を開催した。

冒頭、柳川会長の「昨年度の最大のトピックスは、機械工具商社・Kamogawa(本社=京都市伏見区、竹谷政利社長)グループをM&Aしたこと。景況は全体的に厳しく、特に主力の切削工具分野の低調により、前期の業績も増収減益となった」とのコメントに続き、柳川社長は「業界や地域によって市場環境のバラツキが目立つのが現状。トランプ関税などの影響で、先行き不透明の状況だが、経済環境の変化に迅速に対応していく」と語った。

2025年3月期の業績は、連結売上高は前期比5・2%増の301億2,700万円、営業利益は同26・3%減の5億5,400万円、経常利益は同32・9%減の5億6,300万円、当期純利益は同93・2%減の3,600円の増収減益となった。この要因について、売上高は堅調に推移したものの、主力の切削工具事業の低迷やKamogawaグループのM&Aや人件費のアップ、物流体制の再構築など、将来を見通した投資活動を実施したことで販売管理費が増加したと説明した。

切削は増収減益、耐摩・海外は減収減益、光製品が増収増益

セグメント別では、切削工具事業において主要販売先である自動車・建機業界の需要低迷や設備投資の動きが鈍く、全体として販売拡大に至らなかったことに加え、販売管理費の増加などにより、売上高は167億6千万円(前年度比2・1%増)、営業利益は1億1,800万円(同16・4%減)の増収減益となった。耐摩工具事業では、製缶業界での設備投資の一巡や主要顧客の生産調整の影響などにより、売上高21億8,200万円(同18・4%減)、営業利益が1億6,200万円(同26・0%減)の減収減益となった。

海外事業では、成長市場のインドやメキシコの市場開拓や販売拡大が進んだものの、中国経済の低迷が影響し、売上高72億9,100万円(同1・2%減)、営業利益は1億9,200万円(同32・2%減)の減収減益。光製品事業は新規顧客との開発・量産案件が着実に進展し、売上高は14億5,800万円(同8・2%増)、営業利益は9,500万円(同83・1%増)の増収増益となった。

eコマース事業は売上高8,800万円(同75・6%増)となったが、営業利益では7,300万円の損失となった。昨年12月にM&Aを実施したKamogawaグループの生産財販売業績を反映したKamogawaものづくりソリューション(KMS)事業は、売上高15億6,100万円、営業利益は2,600万円の損失となった。

名古屋ロジセンターの機能統合

また、新中長期経営計画ローリングプランの1年目となった25年3月期の、戦略骨子の観点からの進捗状況は「M&A・海外マーケット等への戦略投資加速は順調に推移」として、インド、北米を中心とした成長市場開拓の加速化とKamogawaグループのM&A実施(昨年12月)を、さらには「収益性向上・強靭な財務体質の実現」においては、名古屋ロジセンターの機能統合(昨年11月)を、それぞれ強調した。

その上で、同プラン2年目となる、26年度3月期の連結業績予想について柳川社長は「生産性向上に貢献する高度専門商社への変革を基本方針に、独自性の高い商材の拡充や成長投資の実施などの施策を中心に持続的な成長と変革のための施策を引き続き推進する」と述べ、「与えられた環境に対し、いかにスピード感をもって対応していくことに注力すると共に、もっとスリムに、もっと素早く、必要なところに、必要なソリューションを投入していく」と表明。さらに柳川会長は、M&Aによるシナジー効果について「当社とKamogawaとは市場や商品構成など、何もかも補完関係にあり、両社の国内外でのネットワークや主要顧客網、取扱い商品・サービスを掛け合わせることで、ものづくり専門商社としての新たな価値を提供していく」と強調した。

今期売上高400億円へ

これらをふまえ、今期(26年度3月期)の連結業績予想については、連結売上高400億円(前期比32・8%増)、営業利益10億円(同80・3%増)、経常利益9億6,200万円(同70・7%増)、当期純利益5億9,000万円とした。


▲説明会に臨む(左)柳川修一社長(右)柳川重昌会長

 

» «