【ユーザー通信272号 4面】山善 ものづくり産業の回復と成長に向け、主要7業種別の課題と対策を調査
山善
ものづくり産業の回復と成長に向け、主要7業種別の課題と対策を調査
山善(本社=大阪市西区、岸田貢司社長)は、日本の産業構造を支えるものづくり産業の回復と成長に向けて、ものづくり産業7大業種別の直近の課題と解決策について調査した『第1回ものづくり産業・業種別課題と対策調査』の結果を発表した。
調査は、今年8月2日から5日までの4日間、全国のものづくり産業の主要7業種(一般機械、電気機械、輸送用機械、鉄鋼業、化学工業、非鉄金属、金属製品)に携わる管理職以上の責任者700人(1業種・100人)を対象に、インターネットで集約した。
ものづくり産業が直面する直近3年以内の課題と以前からの課題については、業界全体で71%が以前から直面している課題があると回答した。
その課題としては、直近3年以内・以前からともに「人材不足への対応」がトップで、直近3年以内では「エネルギー価格高騰への対応」、「AI活用」「人件費高騰への対応」が上位に浮上。直近3年以内の課題では、「物流費高騰への対応」(14.6%)や「カーボンニュートラルへの対応」(12.6%)がトップ10にランクインした。
一方、直面する課題トップの「人材不足への対応」への対策では、「正社員の採用対象層の拡大」がトップで、「外国人人材・女性従業員の雇用拡大」を実施する企業も見受けられた。次いで、「IT活用/DX推進」対策では、「専門人材の確保」がトップで、「シニア人材の活躍」「従業員の知識・スキルの底上げ」も重要との回答も。また、「原材料価格高騰への対応」への対策では、「販売製品の値上げ」がトップで、「サプライチェーンの見直し・分散」などもランク入りした。
対策の成果では、対策を実施していると答えた企業のうち、4割以上が「成果が出ていない」と回答。対策が実施できない理由では、2割以上が「対策は実施できていない/わからない」との回答。
実施できない課題では、「後継者不足への対応」、「サプライチェーンの安定化」と続いた。さらに、対策ができていない理由は、「人手」「専門人材」「資金・予算」が足りないとの現状が浮き彫りとなった。
こうした調査結果について、山善・産業ソリューション事業部戦略企画部の奥山真吾部長は、「課題トップの人手不足については、少子高齢化に加え、終身雇用より、スキルアップの転職を考える人が増えている」と指摘。さらに、「AI活用での対策」について、「経営陣は改善ソフトを『導入したから改善されている』と思っているが、現場は『こんなもの使えない』とのことで何も改善されていない例もあった」とし、「対策を講じるには、問題点を挙げて、縦割り組織を横断で見ることが重要」と解説した。
2024年12月27日