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大澤科学技術振興財団 【ユーザー通信】

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大澤科学技術振興財団
単年度過去最高の総額8423万円を助成

設立以来の累計は11億5800万円に

「基礎研究の発展に引き続き寄与、支援していく」(大澤理事長)

大澤科学技術振興財団は、2024年度の研究開発助成先を決定した。

研究開発助成は、「フライス加工におけるエッジ品質予知に関する研究‐エッジ品質予知法とエッジ品質検査シートの考察‐」(芝浦工業大学工学部 澤武一教授)はじめ33件(8189万8千円)。国際交流助成は、「第26回国際先端砥粒加工シンポジウム(ISAAT2024)」(神奈川大学工学部 由井明紀教授)はじめ5件(233万2千円)。計38件の研究者に対して、総額8423万円の助成を行った。

同財団は、1991(平成3)年7月に設立され、日本のモノづくりを支える科学技術の振興に寄与したいという趣旨から、国内の大学・研究所等、非営利の研究機関に所属する研究者に助成を行っている。

今年度の贈呈式は11月12日に、愛知県豊川市のオーエスジーアカデミー内ゲストハウスで行われ、大澤伸朗理事長(オーエスジー社長兼COO)は、「今年度は、単年度として過去最高額の総額8423万円の助成を行い、設立以来の助成額も総額で約11億5800万円となった。今後も、財団創立の使命を継続し、産業界に貢献すべく、基礎研究の発展に引き続き寄与、支援していきたい」とあいさつした後、2つの話題を、次のように言及した。

まずは、当日の前々日まで東京ビッグサイトで開催されていたJIMTOF2024について、「会場には累計16万人が訪れる盛況となったが、中でも、工作機械ブースにおける、自動化・省人化・DXといった効果を実際に見るにつけ、五感に訴える必要性をあらためて痛感した」と強調。

また、中国経済の動向について、「内需の成長鈍化による供給過剰がデフレ圧力となり、日本の自動車業界もこの嵐に巻き込まれている。この対応には、単純な価格競争などではなく、基本となる基礎技術の開発に注力し、画期的な製品・技術開発を地道に貫いていくことだと確信している」とふれた。

次に、選考委員会の帯川利之委員長(理事、東京大学名誉教授)が選考理由の説明に加え、「研究開発には、スピード感とともに、粘り強く取り組むことが大事。新しい発想による技術革新を」と受賞者を喚起。さらに、浅野勝人顧問(元内閣官房副長官)は、「研磨など金属加工技術は産業基盤を支え、技術は際限なく求められる。自身の研究開発に注力し、新風を起こしていただきたい」とエールを贈った。

この後、大澤理事長から各受賞者への助成決定書交付に続き、2021年度重点研究開発助成の「超ナノ微結晶ダイヤモンド膜の切削工具への応用」(九州大学大学院 吉武剛博士〔工学〕、教授)など2件の成果発表が行われた。

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