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山善、24年3月期は減収減益 今期目標は売上5,300億円に修正/ECサイト「山善ビスコム」は順調に伸長

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山善(本社=大阪市西区)は5月14日、大阪・北浜の大阪証券取引所にて、2024年3月期決算説明会を開催し、岸田貢司社長が発表した。

決算内容は、連結売上高は前期比3・9%減の5,068億6,600万円、営業利益は同40・3%減の98億8,700万円、経常利益は同39・6%減の104億3,500万円、当期利益は同48・2%減の64億8,800万円の減収減益となった。

セグメント別では、国内生産財事業においては自動車産業や半導体産業での需要回復の遅れなどにより設備投資が低迷し、工作機械をはじめ切削工具等の消耗品全般にて、前年実績を下回った。海外生産財事業では、北米やアセアン市場は堅調に推移したものの、中国や台湾を中心とした中華圏市場での主要分野である電子・半導体産業や輸出型産業の需要減などが影響した。その結果、国内外の生産財関連事業の売上高は前期比6・9%減の3,286億6,200万円となった。

消費財関連の住建事業では、光熱費高騰による節約志向に対応した高付加価値商材の提案と、非住宅分野での開拓に注力した結果、太陽光発電、蓄電池関連の販売が堅調に推移し、売上高は同5・6%増の718億4,200万円。また、家庭機器事業では、消費者ニーズを捉えた商品開発とラインアップの強化に取り組んだことに加え、法人・個人事業主向けの自社ECサイト「山善ビスコム」が順調に伸長したことで、売上高は同0・4%増の1,011億1,900万円となった。

「北米、インドの成長が著しい」(岸田社長)

岸田社長は、減収減益の要因について、「海外は特に苦労した」と前置きした上で、国内外の生産財関連の不調に加え、減収面では基幹システム「SAP」の原価償却によるものと説明。今後の見通しについては、「国内外での生産財事業は依然と不透明な状況だが、今期後半には回復に向かうと見込んでいる。海外では北米、インドに勢いがある。専門性を一段と強化し、生産現場の自動化・省力化や脱炭素化等のソリューション提案に積極的に取り組む。一方、消費財事業は堅調に推移しており、新たなニーズへの対応を加速させていく」と強調し、今期は生産財事業が3,470億円(前期比5・6%増)、消費財事業が1,790億円(同3・5%増)を見込むとした。

また、中期経営計画「CROSSING YAMAZEN2024」の最終年度となる2025年度3月期(今期)の数値目標について、直近の業績動向を踏まえ、当初計画を見直し、今期の通期目標を売上高5,300億円(前期比4・6%増/修正前6,000億円)、営業利益120億円(同21・4%増/同210億円)、経常利益120億円(同15・0%増/同210億円)、当期純利益76億円(同17・1%増/同140億円)に修正した。


▲決算説明会に臨む岸田社長(於・大阪証券取引所)

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