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ユーザー通信194号 DMG森精機 2017年度決算発表

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売上収益4,297億円・営業利益294億円
今期は売上収益4,500億円・営業利益350億円見込む
「順当にグローバル市場でシェアを拡大」全世界的に進む経営者の世代交代も後押しに

DMG森精機(本社=名古屋市中村区名駅)は2月13日、同社東京グローバルヘッドクォータと名古屋本社をテレビ会議で結び、2017年12月期(2017年1月1日~同年12月31日)の決算発表を行った。
連結業績は、売上収益4296億6400万円(対前期増減率14・1%)、営業利益293億9100万円(対前期比14・7倍)、税引前利益248億300万円、当期利益156億7600万円、親会社の所有者に帰属する当期利益152億6300万円、当期包括利益合計額169億7400万円(なお、2016年12月期の税引き前利益以下の項目がすべてマイナスであったため増率の記載はなし)と増収増益となった。
会見に臨んだ森雅彦社長は、主に次の旨述べた―。
5軸機、複合加工機、Additive Manufacturing(アディティブマニュファクチャリング/積層造形)等の先端加工技術先行において予定通り完遂し、同業他社に対し先行していることから、日工会におけるシェア、また全世界の工作機械におけるシェアを順当に伸ばしている。
加工精度の偏差を最小化する商品等、クローズドループに近い制御に対する高精度な製品の開発に努めている。CELOS(新オペレーティングシステム)、DMQP(厳選した品質・性能・保守性に優れた周辺機器)、Technology Cycles(複雑な加工工程を簡単に実現するソフトウェアソリューション)によるFull Turn‐Key展開を行った。
サービスの強化、スペアパーツの納期短縮等、人的な面でユーザーの機械を保護し続けるということに対しても投資している。
その結果、グローバル市場でのシェアが拡大した。受注単価の向上により受注粗利益が改善し、収益性が改善した。特に第4四半期では10%以上の利益率が見られた。
社員教育、人材の多様化と適切な報酬による持続的成長体制の構築を図り、環境変化の対応力をさらに強化していきたい。
2017年度はAG社とフル連結した最初の年だったので、業績を17年をベースとし今後、理解しやすくなる。
連結受注について、地域別では、日本=43%増、アジア(中国含む)=34%増、EMEA=27%増、米州=22%増、ドイツ=22%増、S&P=6%増。
18年度も17年度同様に高原横這いと見ており、4500億円以上の受注が可能と見ている。直近でも「過去最高の1月」受注となった。よほどのことがない限り、達成できる数字だと思っている。
業種別では、建機、半導体、メディカル、金型、航空・宇宙、中小企業向け等で活発な商談が続いており、下がる要因がない。
グローバルシェアの拡大については、16年比で17年は全世界的では1・4pt伸び、日本=3・4pt増、ドイツ=2・8pt増、その他米州=1・8pt増、EMEA=1・7pt増、アメリカ合衆国=0・8pt増、中国=0・6pt増、アジア=0・5pt増。
機械本体の平均単価では、5軸化、システム化、複合化等により5年前に比べれば1千万円ほどのアップ。
在庫・生産台数では、2500台の受注残のうち、明らかな納期遅れは約200台で、3~4月のピークを乗り越えれば納期遅れは解消できると見る。一方、17年は在庫を大幅に抑制できた。フル連結により経営の意志統一が図れ、無駄な展示品、無駄な在庫を省くことに成功している。
地域別の受注と売り上げでは、緩やかに成長を遂げている中国マーケットはしっかりと押さえながらも、核となるのはやはり、アメリカ(受注15%/売上16%)、ドイツ(受注19%/売上23%)、日本(受注16%/売上14%)の先進3ヶ国でしっかりと量の半分を獲得できている。
すべての最新ワーク、材料、加工技術、プログラム等は、基本的にこの3ヶ国で生まれていることから、それらを当社製品に反映していく戦略。
全世界的に中小企業からの受注が増えている。これは全世界的に経営者の世代交代が進み、後継者のいる、技術のある金属加工業者が明らかになり、買い替え需要が高まっている。
そのうえで取り組みとして、「EV化、高齢化、AI化」「供給体制強化」「コネクテッドインダストリーズ『ADAMOS』実現」「研究開発強化」「SDGs(持続可能な開発目標)、社員教育強化」を挙げる。
以上をふまえ、2018年12月期の連結業績を売上収益4500億円、営業利益350億円、親会社の所有者に帰属する当期利益200億を見込む。

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