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岡本工作機械製作所「PSG会支部連絡会」開催/新中経ビジョンは「創」lution 2025

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25年度売上高500億円・営業利益60億円へ

「研削・研磨の可能性を追求、顧客価値高める」(石井社長)

岡本工作機械製作所(本社=群馬県安中市/以下、岡本工作機械)は2月6・8・9日の3日間、東部(東京)・西部(大阪)・中部(名古屋)の順に、代理店会「2022年度 PSG会支部連絡会」を開催し、このうち西部支部連絡会は2月8日に吹田市の新大阪江坂東急REIホテルを会場に行った。

イントロダクションとして、江連武彦国内営業部長があいさつを兼ね、同社概況を概ね次のように報告した。

―――2021年末までの日工会における製品別受注割合では、研削盤は8%=約1千億円の市場。このうち、主力製品である平面研削盤の岡本工作機械シェアは半分以上を占めると推測している。平面研削盤は今後いかにシェアアップするかが命題である一方、円筒・内面・複合研削盤といった丸物加工向けに関しては、まだまだ伸び代があると見ており、注力していく。連結売上高の国内外比率は外部発表にもある通り海外6割・国内4割の比率。22年度は前年度比15%増の430億円を、残り期間(3月末まで)取りこぼしがないよう皆様と目標達成を目指したい。特に好調シリーズとしては門形平面研削盤とロータリー研削盤が挙げられる。中でも、静圧スライドの超精密平面研削盤『UPGシリーズ』の受注大幅増が要因といえる。門形はEV、工作機械、塗工装置向けに好調で、ロータリーは半導体、セラミックス、刃物向けに好調。本年も注力をしていく分野である。23年度受注は前年より若干下回ると思われるが、国内は補助金などの政策によって高い水準維持が続くと予想。グラインディングセンタなど新機種投入により新たな脆性材市場を開拓し、引き続き半導体装置、EV関連、工作機械関連等、好調業種向けにアプローチを行う。―――

続いて、今回は「門形研削盤の動向」、「好調業種向け新シリーズ研削盤の紹介」、「自動化・機上計測・省人化」と題した3本の最新技術動向の紹介・勉強会を、恒例により同社若手営業・中堅社員が実施した。このうち、新シリーズについては、JIMTOF2022から販売を開始した2機種に加え、既存ラインナップをマイナーチェンジした横軸ロータリー研削盤の計3機種を「半導体」「セラミックス」「ロータリー」をキーワードに、好調・いちおしシリーズとして紹介。この中では、質問が多いという「平面研削盤とロータリー研削盤の違い」について、次のように見解をまとめた。「当社は従来のラインナップで角型平面研削盤と横軸ロータリー平面研削盤をラインナップしていた。昨年末より新たに販売開始した立軸ロータリー研削盤のラインナップによって粗・仕上げのロータリー研削盤を提案できるようになった。立軸ロータリー研削盤は他の研削盤と比較して駆動する軸が上下軸しかないことから、非常に早く加工を終えることが可能だ。また、立軸での砥石のアプローチではアヤメ模様やカタメ模様といった、従来当社平面研削盤とは違う加工模様が現れるのも特徴。油圧部品やブレーキディスクなどの部品加工から脆性材加工まで対応することが可能な新シリーズだ」。なお、立軸ロータリーテーブル『VRGシリーズ』、横軸ロータリーテーブル『PRGシリーズ』、横軸角テーブル『PSGシリーズ』の3種類の研削盤を販売するのは岡本工作機械だけであり、ユーザーの加工精度や希望するサイクルタイムによって最適な提案ができる強みをアピールした。

そして、伊藤暁常務(技術開発本部長)による特別講演『半導体立国復活へのシナリオ』では、「Beyond 2nm時代における部品加工」や「防衛力の国産化」にも言及しながら、「日本政府の半導体戦略に見る未来の日本」をポイントに現在の時事関連を半導体製造装置メーカーとしての視点で解説した。

最後は、石井常路社長があいさつに立ち、25年3月期を最終とした新中期経営計画『「創」lution 2025 GRIT & Adjust』を発表した。「当社にとっては大きな区切りとなる売上高500億円・営業利益12%の60億円を目指す。『研削で価値を創造するソリューションカンパニーへ』をビジョンに、研削・研磨の可能性を追求し、研削ソリューションサービスを総合的にユーザー様に提供し、顧客の価値を高めていく」と述べ、具体的な施策として、「本社工場に自動倉庫を新設し、品揃え強化、リードタイム50%短縮、サービス部品即納など研削ソリューションをタイムリーに提供」、「工作機械ショールーム、半導体装置用クリーンルームの新設」、「高精度研削盤の要求が高まる中国市場での工作機械生産増強」、「ロボット用歯車の需要増に応えるため、関連会社・岡本工機の工場新設」をあげた。

 

▲西部支部連絡会(大阪・江坂会場)のようす/(左)石井社長あいさつ(右)伊藤常務の講演に聞き入る参加者たち

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