ユーザー通信 248号 3面 :研削加工の専門展 『GTJ2023』出展者説明会実施
講演では「JIMTOFで印象に残った技術」に言及
来年3月に迫った『Grinding Technology Japan 2023』(GTJ2023)【主催=日本工業出版、産経新聞社】の開幕に向けた出展社説明会が、12月6日に東京・大手町のサンケイプラザで行われた。
GTJ2023は、2023年3月8日(水)~10日(金)の3日間、千葉市・幕張メッセ(ホール8)にて開催、工具製造技術と研削加工技術の専門展示会として2019年にスタートしたGTJは3回目を迎える。今回も各種研削加工技術、工具製造技術を支える工作機械、砥石、計測、周辺機器が多数出展(※93社、12月6日現在、共同出展は1社とカウント)され、特別協賛団体として切削フォーラム21が参加し、会場内で切削工具の加工実演を行う。また、特別協力団体として砥粒加工学会が参加し、「2023年度 先進テクノフェア」(ATF2023)を開く。ATFは産業界と学術界をつなぐイベントとして毎年開催されており、同学会をさらに身近なものに感じてもらうために、今回はGTJ2023の会場内で併催することとなった(講演会は有料)。そのほか、専門技術者によるパネルディスカッション、各種講演、研削コンシェルジュ(5名常駐)も実施されるなど、専門家が集う会場で、最新技術の情報収集と意見交換が期待される。
なお、出展社説明会では岡山大学大学院自然科学研究科産業創生工学専攻の大橋一仁教授が「研削加工技術のこれからを考える」と題し講演した。その概要は概ね、精密機械部品、半導体、光学部品など幅広い分野の製造工程に利用される研削加工は、高精度・高能率なものづくりには欠かせない機械加工法のひとつであり、現在の研削加工技術は、研削砥石、研削盤およびその周辺要素や計測器などの技術革新がこれまで積み重ねられてきた結果であることをふまえ、研削加工に関するこれまでの技術的革新の流れを鑑みつつ、研削加工技術の現状を解説するとともに、研削現象や研削プロセスの観点から、これからの研削加工技術を展望する内容だった。その中では、11月に開催されたJIMTOF022をみて印象に残った点を、「加工形状・寸法の見える化技術」だったとし、加工形状・寸法の機上計測、加工技術の特定による補正加工、指定部分の拡大観察にふれながら、「ワークのデジタル画像を撮影→輪郭形状を数値データに変換」への言及や、「砥石表面の見える化技術」の問題点を「観察に時間がかかる」など6つ列挙した。加えて、研削加工における課題として、「研削メカニズムのさらなる解明」(研削現象の見える化)、「加工状態の検知技術」、「加工仕上り状態の予見技術」(仕上り寸法・経常/仕上面の表面特性=表面粗さ、残留応力など)、「抜取り検査評価の全数検査化技術」(インライン評価)、「破壊検査の非破壊化技術と機上実施」(研削焼け、硬度、表面機能など)を挙げ、まとめとした。
▲岡山大学大学院・大橋教授による講演を聴講
2022年12月19日