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ユーザー通信 246号 8面 :大澤科学技術振興財団 今年度研究開発助成31件・国際交流助成2件、贈呈式開催

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「多くの可能性信じ、基礎研究の積み上げを」(大澤伸朗理事長)

大澤科学技術振興財団は10月17日、オーエスジー NEO新城工場(愛知県新城市)にて、2022年度助成費贈呈式を執り行った。今年度は、31件の研究開発助成(5995万5千円)および2件の国際交流助成(40万円)を行い、助成金の合計は6千35万5千万円となった。平成3年の設立来31年間の研究開発助成は10億18万4千円に達している。

当日出席者たちは2020年5月に竣工したNEO新城工場を見学したことを受け、大澤伸朗理事長(オーエスジー社長兼COO)は、次のようにあいさつの口火を切った。 「実際の現場におけるものづくり等を直接ご覧になる機会はなかなか少ないと思う。もちろん皆さまは日頃から、いろいろなテーマに基づいた基礎研究に注力されているが、こういったものが実社会において、どういった形で役に立って行くべきかと、そういった目線で考えていただく良い機会になったのであれば、私共としても、このNEO新城工場を贈呈式の会場として選んだ甲斐がある」。さらに、ここにきてウィズ・コロナの社会が世界的に見ても成り立つ段階にきていると感じられる中、その機会を通して感じた、日本の今後の世界における立ち位置について、次のように述べた。「コロナ禍の間、経済面だけでなく特に技術的な分野において、かなり取り残されて、置いて行かれるのではないかという危機感を抱いている。これは、対コロナという部分で、日本そのものが非常に踊らされているというか、コロナ禍に対する恐怖に打ち勝つことがなかなかできていない中で、海外のほうがいち早く経済活動も含めて動き出した、そういうことが顕著であると思う」。一例として、今年から再開した渡米においてデトロイトを訪れた際、自動運転の実地試験をする自動車が、街の中をふつうに走り回っている様子を挙げた。「とにかく多くの可能性を信じて、基礎研究をしっかり積み上げて行くことによって、そこから新しい革新的なものが生まれることを私共も強く信じている」と研究者に対する助成を今後も支援し続けていく考えを示し、結びとした。

なお、今年度の受賞者は、研究開発助成は、豊橋技術科学大学 坂東隆宏助教(先進的成膜手法によるSiC層を用いた高耐久性ダイヤモンドコート工具の製作)、富山県立大学 伊東聡准教授(アブラムソン型斜入射干渉計を用いたきさげ加工面幾何形状の自動計測に関する研究)ほか29名。国際交流助成は、東京工業大学 平田祐樹助教(表面、コーティング、界面に関する環太平洋シンポジウム(PacSurf2022/アメリカ)、公立小松大学 細川晃教授(CIRP 第71回総会・CIRP=国際生産工学アカデミー/スペイン)の2名。

▲大澤理事長あいさつ

▲記念撮影(於・オーエスジーNEO新城工場)

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