ユーザー通信232号7面 決算発表 ダイジェット工業
決算発表 ダイジェット工業
海外第4半期売上高はコロナ影響前水準まで回復、海外売上高比率は47%に上昇
大幅な減収・減益も
「MC用工具として認知されるブランド目指す」
代理店・特約店との関係・連携を「コロナ禍だからこそ」強化へ
ダイジェット工業は5月13日、2021年3月期(第95期)の決算発表を行い、同日午後にはシェラトン都ホテル大阪(天王寺区)にて、感染症対策を十分にとった上で、国内営業部 福井正徳部長らが決算説明会に臨み、大幅な減収・減益となった概要を説明した。
上半期は新型コロナウイルス感染拡大により主要顧客である自動車・航空機産業からの受注が大きく落ち込んだが、20年8月を底に、以降、国内外の自動車産業向けを主に回復傾向となり、昨年11月に修正公表した業績予想よりは売上高では若干プラスとなったものの、累積赤字を埋めるまでには至らず、各利益面で赤字となる経営成績となった。
連結売上高は前期同期比21・6%減の70億9200万円。うち、国内が同28・7%減の37億3700万円、海外向けが同11・9%減の33億5400万円。
国内に比べれば減少幅が少なかった海外は、中国市場がいち早く持ち直し牽引、海外の第4四半期(21年1~3月)は新型コロナ影響前の水準まで回復した一因を、「切削工具標準規格品の比率が高いこと」と挙げる。
輸出の地域別では、北米向けが7億4千万円(前年同期比14・0%減)、欧州向けが9億3600万円(同8・0%減)、アジア向けが16億4千万円(同12・5%減)、その他地域向けが3600万円(同29・3%減)となり、この結果、連結売上高に占める輸出比率は、前年同期に比べ5・2ポイント増え、47・3%に上昇した。
製品別売上高では、超硬素材(焼肌チップ)が6億3300万円(前年同期比28・0%減)、切削工具が54億9700万円(同20・6%減)、塑性加工用工具(耐摩耗工具)が8億6700万円(同29・6%減)となり、占める割合順では、切削工具77・6%、塑性加工用工具12・2%、超硬素材が8・9%となっており、「ここ20年間で切削工具の比率が高まった」と指摘する。
収益面では、売上高が対前期比で19億5400万円減と大幅減したことに加え、製造原価、売上原価が前期の68・6%から同期は73・9%と5・3ポイント悪化したこと等により、連結営業損失は5億4千万円(前年同期は連結営業利益2億1300万円)、経常損失は5億1900万円(同経常利益2億3600万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は6億4300万円(同親会社株主に帰属する当期純利益1億5800万円)の、それぞれ結果となった。
こういった状況下、営業活動では、新型コロナ感染拡大防止のため特約店会総会、代理店総会等を中止するなか、全国サマーキャンペーン(20年7~9月)および全国ウィンターキャンペーン(21年1~3月)においては、「目標をクリアし、励みになった」と振り返った。
これら現況をふまえ、今期営業方針は、金型加工用工具のみならず、「マシニングセンタ用工具として認知されるブランドを目指す」をキーワードとする。
これについてはここ数年、製品リリース等の際にはよく登場しているフレーズだが、認知の現状について福井部長は、「なかなか難しい、商品構成も含め、まだまだ、広げていく伸び代はある」との認識を示した。
刃先交換用工具、ソリッドドリル、ソリッドエンドミルといった新製品を注目商品、得意商品(売れ筋商品)への育成、ステージアップとともに、新規案件・顧客・市場の開拓活動につとめる。
加えて、代理店・特約店との関係・連携を「コロナ禍だからこそ、さらなる強化を」として、オンラインによる製品講習会、加工実演など営業DX(デジタルトランスフォーメーション)ツール活用推進を挙げ、さらに5軸、AM(アディティブマニュファクチャリング)向けといった次世代工具にもふれた。
その上で、22年3月期の連結業績見通しは、売上高92億円、営業利益3億円、経常利益3億円、当期純利益2億4千万円とする。
2021年6月30日