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サンドビック「コロマントストラテジックカンファレンス」を実施

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サンドビック コロマントカンパニー(本社=名古屋市西区)は、「コロマントストラテジックカンファレンス」を4月14~18日の期間、オンラインで録画配信した。コロマント製品の主力販売店に向けた戦略発表の場として、昨年から名称をあらためた同カンファレンス(旧・コロマント会総会)は、東日本、中日本、西日本と3種類の動画が用意され、当該地区のコロマント会会長のあいさつから始まる。

このうち、西日本コロマント会の竹谷政利会長(Kamogawa社長)は、EVの失速と中国自動車メーカーの台頭、日産自動車の問題、そして工作機械メーカーへのTOB騒動などを引き合いに、「急速な業界の動きを肌で感じている。切削工具業界においてもこの先何が起こるのかはわからない。それに、絶対的な伸びを確信していたパワー半導体関連企業も失速してしまった」とふれた。その上で、「厳しい状況ではあるが、我々は生き残りをかけて、創意工夫をした経営をしなければならず、サンドビック製品を扱う会社として、誇りを持ち、皆で切磋琢磨しながら業界を盛り立てていきたい」と抱負を述べた。

なお今回は、コロマント会会長のあいさつに先立ち、昨年6月に名古屋市中川区に開所した「サンドビック・コロマント・センター」が紹介された。1階は大型ディスプレイが配置され、2台の工作機械を設置。最新工具の展示やハードウェア、ソフトウェアを含めた最新のソリューションを体験できるエリア。ラウンジスペース、トレーニングルームのある2階は、スカンジナビアデザインを意識した家具など、白やナチュラルを基調とした北欧デザインを取り入れている。同施設は、世界に15ヶ所設置され、対面やオンラインによる様々なビジネスチャンスを提供し、顧客やパートナーとの繋がりを強化している。

次に、サンドビック コロマントカンパニーの髙宮真一カンパニープレジデントと流通部長の田中悟史氏が、主に長期的成長に繋がる戦略に焦点をあてた発表を行った。髙宮氏はまず、昨年度のサンドビックの世界的な状況を、アメリカ、ヨーロッパ、ノースアジア、そして日本が属するサウス&イーストアジアの順に報告した。「日本においては、航空・防衛・造船・エネルギー関連は堅調だが、自動車・一般産業分野は厳しい。M&A関連企業については、工具関連が大幅な伸びを示したが、ソフト関連企業は欧州経済の低迷を受け、期待通りの成長には届いていなかった」。

また、「変革」をサンドビックグループのメインコンセプトとし、「お客様フォーカス」「勝利への情熱」「フェアプレー」「イノベーション」を4つの基本的価値観と示し、「成長へのシフト」「持続可能へのシフト」「お客様に一番に選ばれる企業へ」「変化への迅速な対応」「選ばれる雇用主へ」「デジタル化へのシフト」を6つの戦略とする中、成長へのシフトに関しては、「既存事業のさらなる拡大」と「企業買収による成長」の2本柱を掲げた。

既存事業では、自動車EV化への対応、戦略的に重要な航空宇宙産業、機械搭載事業をより強化し、「同時にソリッド工具、自動車用アルミ関連、デジタル製品などを強化し、新製品を導入し続けながら、引き続き切削工具メーカーとして成長していく」とし、こう続けた。「昨今のグローバルにおける予測不可能で不安定な情勢を鑑み、日本の存在感はますます高まっている。今後も顧客の生産性と収益性向上に貢献し、日本のお客様やビジネスパートナーの方々に、グローバルでの存在感をさらに高める一助となれるよう、信頼できるパートナーであり続けたい」。

一方、田中氏は、3ヶ年戦略(2025~27年まで)を説明し、「デジタル化へのシフト」について、「デジタル媒体のマーケティングを強化。強みであるデジタルツール活用により、技能伝承の課題解決、データ分析が可能なセンサー内臓工具など、新しい形のプロモーションおよびソリューション提供を行っていく」と力説した。

さらに、今年のフォーカス製品として、■次世代型オールラウンド超硬ソリッドドリル『CoroDrill®Dura462』■新ヘッド交換式ドリル『CoroDrill®DE10』■最新型90°カッターシリーズ『CoroMill®MS40/MS60/MS20』■高生産突切り・溝入れ工具『CoroCut®2』を挙げ、それぞれの特長を語った。

田中氏は、「これらの工具に様々な形でプロモーションを展開し、ユーザーの生産性にしっかり貢献していきたい」と話したほか、コロマントアカデミー(認定コースや新設コース)、コロマント・センター内でのイベント開催(EVセミナーなど)、フォーカス製品のお試しキャンペーン(6月と11月)などセールス・マーケティングにも言及した。


▲エンディングで並ぶ(左)髙宮カンパニープレジデント(右)田中流通部長【PC画面のスクリーンショット】

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