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サンドビックユーザー「光陽機械製作所(広島県福山市)」

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141SV1 例えば、チョコレートは1兆円産業といわれるが、その内、5千億円はバレンタイン市場だといわれる。それを鑑みれば、食品自体の市場は元より、取り巻く機械産業も含め、その市場規模はとてつもなく広く、大きいとの察しがつく。

 

 

写真:「ステンレスが大半」の加工を支えるサンドビック製切削工具

 

 そんな中のひとつに、食品加工機械メーカーの光陽機械製作所(広島県福山市)がある。
 バームクーヘン焼機、巻きせんべい自動充填機、ピザソース塗布機・・・と、同社の製品群をザッと見ているだけでも、正直「楽しい」。製造できる食品例でも、シュークリーム、ロールケーキ、プリン、蒲焼・焼鳥タレ、コンビニのおにぎり、レンジ麺、食べるラー油等々と続くから、なおさらだ。
 このような菓子類、パン類などの「注入・充填・塗布・絞り」といった、製造・加工作業を効率化できる機械、装置の製造・販売を手掛ける同社は、特に「充填」分野への特化で、業界内での地位を揺るぎないものとしている。
 元々は、さほど競合他社は多くないとのことだが、「最近では塗布、絞りなどの分野のニーズも増えてきているが、やはり、充填分野のニーズは比較的多いので、特化した中での同業他社の追随が増える中、競争は激化している」と近況を話す、同社機械課の小畑伸夫氏。
 そんな中、「当社製のカートリッジポンプが、ここ10年以上、高いシェアを取っており、どちらかといえば『追われる』立場」だと続ける。
 「当社製のポンプは『分解・洗浄性』に優れた構造を採用しており、これが長く評価されているポイントだと思う」と自社の特長に触れるが、何よりの「強み」として挙げるのが「自社製造」という点だ。
 「大体が委託生産で、製造工場、加工現場を持っている他メーカーは少ないと聞いている。その点、自社製造の当社では部品供給などのスピードも速い」。
 業界でも稀少な「自社製造」の現場では現在、NC旋盤2台、複合旋盤1台、マシンニングセンタ2台(以上、ヤマザキマザック製)、横中ぐり盤(東芝機械製)が軸となり活躍しており、「特殊な刃物というよりは、基本的な旋盤チップをメインに使っている」という切削工具は、サンドビック製が多くを占めている。
 かつては、複数の国内他社メーカー製が主流だったが、「ユーザーさんからの『短納期、コストダウン』といった要求の高まりを考慮したとき、やはり、切削スピードが不可欠となってくる。だからといって、周速を上げれば良いというものではなく、刃持ちも良くなければ困る。そういった追求をしていくうちに、サンドビック製品に行き着いた」と、導入経緯を語る。
 約10年前、NC旋盤の新規導入時に「加工能力がアップすると思う」と、出入りの機械工具販売店から、併せて提案を受けたのが最初のきっかけ。以降、急速にサンドビック製品の使用シェアは増していった。
 「短納期、コストダウン」に跳ね返る追求をした結果の採用だったが、当初、製品の「割高感」という世間的なイメージに対しては、やはり、気にかかったとも振り返るが、「そういった面よりも『お客様にしっかりとした製品を提供したい』という意識が凌駕している」と言い切る。
 また、サンドビック製品の優位性は、食品関係「だからこそ」のバックボーンによるところも大きい。それは「ステンレス加工」が大半だということだ。いわゆる「錆びない」など「食品衛生上」ステンレスが使われるのは必須だ。  「鉄系材料に比べ、切粉処理が難しい。穴あけにしても、巻き付きやすい。穴ぐりでも、出てこない。当然、刃物の寿命が悪くなるなど、とにかく『ロス』が多い」。
 以前は「あまり、むちゃはできない」と、切削スピードや送り速度を落とすなど「苦戦していた」が、現在、旋削用チップ(2025、1125など)、肩削り用カッター『コロミル390』、正面フライスカッター『コロミル245、345』、刃先交換式ドリル『スーパーUドリル』、溝入れ用チップ『Q‐カット』等々を日々、駆使する中、「明らかに効率が上がった」というサンドビック製品に対し、「『注入』分野では、穴ぐりが重要。細物・小物ワークが多いので、小径のレパートリーをさらに充実させてほしい」との要望も付け加えながら、「刃先の信頼性を感じている」と絶賛する。  近頃のテレビ番組では、食品メーカーの製造工程に「潜入」し、バラエティ化する傾向が多く見受けられる。それらを見るにつけても、「お客様からの提案は尽きない」(小畑氏)との言葉にはうなずくばかりだ。今秋、新たな機械棟が稼働予定であり、ますます「強み」に拍車がかか
ユーザー通信141号(2013.9.1)掲載

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