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MOLDINO、成田工場で初の新商品発表会

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「最大Ⅼ/D驚愕の40D」「全工程での直彫り加工」など期待の新アイテムを集中解説

「金型の大型化、微細加工に注力」キーワードに(金子社長)

MOLDINO(本社=東京都墨田区両国)は2月17日、成田工場(千葉県成田市新泉)にて、主要業界紙に向けた新商品記者発表会を開催した。

昨秋のJIMTOF2024でも発表した「期待の新商品」である、高送りラジアスエンドミルTR2F、超硬シャンク フリーネックタイプ。次世代超硬『IX』シリーズ IX‐EPDB‐TH3についてあらためて詳報し、理解を深める機会となった。同社としては、このような機会を催すのは事実上初であり、この試みを良い経験として、今後も必要に応じて、新商品や様々な取り組みを紹介していきたいという。

開会あいさつに立った金子善昭社長は、最初に、製造業の現況を「不透明感を残したまま、新年の幕開けを迎えた」と表現し、その象徴として、昨年末に報じられた大手工作機械メーカー買収のニュースを挙げた。「業界全体に、まさに激震が走った。日系メーカーが勝ち残るために、世界規模での競争に拍車がかかる必要性が、この買収劇には表れている。今後もこういった動きは加速していく状況にあるのだろう」。

その上で、同社にとって最重要な顧客である金型産業においては、今後より一層の自動化やデジタル化が加速する中、「生産効率の改善や生産方法そのものの合理化、より一層の技術深耕といった、他社にはない独創的な技術革新、課題解決のための重要な戦略、施策が多く求められる」。加えて、「金型の大型化に伴う深掘り加工など加工方法の変化、金型材の進化など、加工の難易度が増し、難加工に伴い製造工程自体の複雑化が予想され、高精度微細化もさらに進む」と続けた。

地方開催の展示会に積極的に出展計画、顧客との接点強化へ

金子社長は、「今回紹介するラインナップは、まさにこれらの技術に対応できる新商品である」と断言。「金型の大型化、微細加工に注力」をキーワードに挙げ、「他社があまり好まない分野で、当社の技術が活かせる分野に、拙速的に絡めていきたい」と述べた。さらに、同社がこれまで培ってきた技術と経験をもとにした、加工費半減を実現する加工提案「PRODUCTION 50(プロダクションフィフティ)」を推進し、ユーザーの課題解決に努めていくほか、デジタルマーケティングを強化し、顧客との接点を増やすために、地方開催の展示会への積極的な出展計画などに言及。次の3者によるプレゼンテーションに繋げた。

ギガキャストは強み活かせる分野

コンセプトを「新商品で切り拓く、ギガキャストと燃料電池の革新ソリューション」とし、順に、営業本部ソリューション営業部副部長兼成田工場開発技術部部長補佐・寺井賢展氏(自動車の変化)。成田工場開発技術部長・當麻昭次郎氏(ギガキャスト向け新商品)。滋賀・野洲工場開発技術部長・古野真弘氏(ギガキャスト向け新商品/IX‐EPDB‐TH3の紹介)が登壇した。

このうち、當麻部長の解説に着目すれば、TR2Fと超硬シャンク フリーネックタイプについて、「金型材が高機能化することで、切削加工は難加工化が伴う」に対し、「TR2Fは、高能率&長寿命な加工を開拓していく」など、高機能材の高速加工でも長寿命を実現する独自のインサート形状などTR2Fの特徴を紹介した。

高機能材ではⅤcが最大でも100ⅿ/minのため生産性が上がらないのが従来の課題だったが、これをTR2FはⅤc120ⅿ/minでの高速加工を実現、従来工具比寿命2倍(60mまで→129mまで加工)の切削性能をもたらすと説明。他方、たわみ量を抑えて加工精度を向上し、干渉を気にせず高剛性深掘りを実現する、モジュラーミル専用超硬シャンクのフリーネックタイプ25アイテム追加に関しては、「テーパタイプを使用することで4~7倍の高能率条件が適応可能となり、加工領域が大幅に進展する」、「放電加工を直彫り加工へと、荒加工工程の工具をダウンサイジング」と特長にふれ、ダイカスト金型の構造部中荒加工や入れ子掘り込み加工において、「高機能材が高周速・長い突き出しでも、本当に削れる」と実績を語った。

この後、参加者らはソリューションセンターに移動し、加工実演を見学。荒加工にTR2Fを使用工具とした「ダイカスト金型(高機能材)の高能率加工」、ソリッドエンドミルによる切削加工の深さの限界を超える「等高線加工と突き加工との比較」(コーナRエンドミルのエポックバーチカルフィニッシュエンドミル、エポックターボシリーズ)など、具体的な使用方法や提案内容を体感した。

中でも、「従来加工では届かない、加工が難しい領域」、「最大Ⅼ/Dは驚愕の40D、荒加工から仕上げまで、深いリブも、全工程で直彫り加工を達成」(ギガキャストコンセプモデル)といったポイントが強調された。

最後は、成田工場長(理事)・島添雅浩氏による成田工場の概要説明を受けた上で、合金・インサート・加工の各工場内の見学に臨んだ。

原料、金型プレス、押出プレス、焼結、研削、コーティング、ホルダ製造の各工程を巡る中、各所でチーム毎での改善提案が掲示され、随所に「DREAM活動」の標語が散見できた。ちなみにDREAMとは「Dynamic Revolution by All Members」に由来するそうだ。


▲金子社長あいさつ                ▲ギガキャストコンセプトモデル

▲ソリューションセンターでの當麻氏      ▲ソリューションセンターでの古野氏
 
▲ソリューションセンターでの寺井氏 ▲加工実演、ソリッドエンドミルによる切削加工の深さの限界を超える

 

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