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連載】ツーリングコンシェルジュ・清水浩の 『工具需要の視点』特別編㊵

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リーマの理論上でのビビり対策とは異なる不等分に「似て非なる形状」の考え

私が認める不等分刃は【図3】です。1箇所(A-A)はマイクロメータで測定できるように、朱記マーキング(※モノクロ掲載なのでわかりにくいですが)されたドイツ製の現物でした。理論的で実用的な考えで、ドイツの技術者らしいと感心した記憶があります。

一方、【図4】を不等分として設計製作しているメーカーがありますが、各切れ刃の正面に切れ刃があるので、外径測定は容易です。しかし、対面に切れ刃があり、理論的なビビり対策の本来の考え方とは異なるので、不等分に「似て非なる形状」と考えられます。

リーマ加工による精度を高めるには、「取り代は可能な限り少なく」、「送り速さは低く」、「リーマの刃数はできるだけ多く」、「比較的低い切削速度」などが常識的な対策になります。この中で、内径寸法は栓ゲージで通り、止まりを確認することが一般的かと思いますが、実は、リーマによる内径は多角形になることが多いのです。

したがって、栓ゲージや内径マイクロメータ、エアーマイクロメータ、電気マイクロメータ、といった測定工具によって評価が異なるので、事前に測定方法を定める必要があります。作業者によって選択を任すと混乱を起こすので、ワーク検査上の大切なルールです。

リーマは、前段のように幅広く使用される特殊な工具です。現実な情報を述べ、利用者の考えも踏まえながら、リーマ技術資料として拡充していきます。

(続く)〈清水浩〉

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