【連載】ツーリングコンシェルジュ・清水浩の 『工具需要の視点』特別編㊶
リーマ外観上の違い6種類〈前篇〉
前号では、一般に使われているリーマの4種類の刃型について述べました。リーマは穴加工の最も単純な工法ですが、真円度の安定さ、穴径はH8~H9と、限界のあることを語っています。
その4種類をすべて設計製作しました。現場では明確な結果を確認することはできませんでしたが、現在の工具設計者の方々は存在を知っていただければと思います。昨今の工具技術書には紹介されていないので、あえて紹介しました。
今回は、図5に外観上の違い6種類を記載しました。
(a)は前回の刃型形状を持ちながら段付きを表します。前加工のドリル加工後、リーマ加工では安定した加工径や真円度が得られにくいので、前方の粗リーマでドリル目を削除後、後段で仕上げる工法です。
(b)は、スケッチでは理解できにくいですが、先端にガイド部が付くリーマです。前加工のドリル穴に合わせてガイド径を設定します。内径に焼き付かないように、油溝と称して適当な溝を掘るのが得策です。リーマ加工時にガイドブッシュが付いている場合はこのガイド(パイロット)は不要ですが、ラディアルボール盤や卓上ボール盤などを用いて芯ができにくい場合は、このガイドが有効です。私は自動車用コンロッドの穴加工に採用した記憶があります。
(c)は、ドリルリーマと称され、加工穴精度は9~10級に採用が可能です。先端はドリル形状ですが後段の大径部に、4または6刃を成形する設計です。製作も比較的容易なので試用いただければと思います。先端がドリル形状のため、チゼル幅によって円周に振られて穴径が拡大しやすく、送り速さは可能な限り小さくできれば、さらに安定します。
(続く)〈清水浩〉
2024年7月10日