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[263B]岡本工作機械 2030年売上700億円達成へ 総合砥粒加工機メーカーとして シェア拡大に注力

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岡本工作機械製作所(本社=群馬県安中市)は2月7日、8日、9日の3日間、西部(大阪)、中部(名古屋)、東部(東京)の代理店会「2023年度PSG会支部連絡会」を順次開催した。7日に実施された西部支部連絡会は、吹田市の新大阪江坂REIホテルで行われた。

会では冒頭に、同社の江連武彦国内営業部長が業界および会社の現況を報告した。日本工作機械工業会の23年の受注額は1兆4,865億円、24年は1兆5,000億円を見込んでいると説明した後、「このうち研削盤の割合は7%弱で、約1,000億円超の受注額になる。同社工作機械部門の国内外の割合は、国内43%、海外57%の比率。主力の平面研削盤は国内では50%超のシェアを維持しているが、高精度機種の拡販に加え、サービス部品の即納や機械のダウンタイムの減少などのアフターサービス体制の強化・拡充に尽力し、シェア拡大を図る」と述べた後、「好調業種である半導体装置、EV関連向けに積極的なアプローチを展開するほか、平面研削盤のシェアアップ、丸物加工向け研削盤の拡大など、新機種投入による新市場の開拓をはじめ、環境対応・自動化・省人化等の付加価値ある提案活動を推進する」との営業方針を説明した。

続いて、「OKAMOTOの歴史と未来」、「脆性材加工の需要」、「EV産業における研削盤需要」をテーマに、同社若手営業マンによる恒例のプレゼンが実施された。中でも、日本製造業の成長戦略の柱の一つと位置付けられている半導体事業で需要増が期待される脆性材加工と研削盤の最新動向について、5GやEVの急速な普及に伴い、次世代半導体製造に不可欠なシリコンやSⅰC(炭化ケイ素)、セラミックス、石英ガラス等の脆性材料および加工機の需要が高まっているが、脆性材は砕けやすい特性のため切削加工が困難なのに加え、μレベルの超精密加工が求められていると解説。その上で、半導体の使用分野や用途に応じての脆性材料の特性に適した同社の研削盤シリーズの特長や加工実績をはじめ、脆性材ワーク向けのオプションなどのサポート体制も紹介し、半導体と工作機械の事業分野での市場開拓をアピールした。

また、伊藤暁取締役常務執行役員技術開発兼営業本部長による特別講演「2050年カーボンニュートラルの実現に伴うグリーン成長戦略『経済と環境の好循環を作るための産業政策』」では、太陽光や風力発電等の脱炭素化技術の開発や活用状況を解説した。この中で、薄膜生成技術を応用した「ぺロブスカイト太陽電池」について、「日本で生まれた技術に加え、主原料の『ヨウ素』も日本は世界トップの埋蔵量を有しており『エネルギーの安全保障』の面からも今後の貢献が期待される」と強調。また、「CO2吸収コンクリート」や「宇宙太陽電池」など、「カーボンニュートラル実現に向けたプロジェクトを支える部品加工の最前線では、『砥粒加工』への関心が広がっており、最適な複合加工研削盤の提案など市場ニーズに迅速に対応していく」と語った。

最後に、石井常路社長が閉会あいさつに立ち、25年3月期を最終とした中期経営計画での売上高500億円、営業利益60億円の目標は一年前倒しで、今期24年3月期で達成できる見込みと報告。「当社は『研削革命』を掲げる研削盤のリーディングカンパニーとして、進化する研削加工技術を追究し、全自動研削盤や超精密・超高能率研削盤、複合研削盤など総合的な提案活動を展開する」とした後、「2030年長期ビジョン・目標を制定し、『総合砥粒加工機メーカー』として、平面研削盤・半導体ウェハ研磨装置でグローバル№1を。そして、連結売上高700億円、営業利益率16%達成を目指す」と強調した。具体的な施策として、①関連会社・岡本工機の新工場竣工に伴う歯車生産の増強②新子会社「NICCO」の事業展開による製造・サービス拠点の拡充③九州テクニカルサポートセンターの開設等、九州地区での半導体関連施設の拡充などを展開し、「工作機械と半導体関連装置の事業分野でのグローバル市場でのシェア拡大に注力していく」との経営方針を表明した。


▲2030年長期ビジョン・目標にふれる石井社長  ▲伊藤常務がグリーン成長戦略を特別講演   ▲大阪・江坂で開催のPSG会西部支部連絡会

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