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愛知全国大会へと続け― 全機工連、3年ぶりの若手交流会(OMJC主催)を後援

ニュースリリース

『全国機械工具商青年部総会』大阪開催に15組合ら全国から128名参集

全国機械工具商連合会(全機工連)の今年度主要行事のひとつ、『全国機械工具商青年部総会』が8月24日、大阪・心斎橋のホテル日航大阪で開催され、全国から15組合、賛助会員、関係者ら計128名が参加した。全機工連では2年毎に「全国若手交流会」を開催しており、今回持ち回りの大阪では大阪機械器具卸商協同組合(大機器協)の下部組織としての青年部会は存在せず、組織上、全機工連での主催は難しいため、OMJC(大阪機械工具商青年会)が主催、全機工連が後援する形での実施となった。

親会持たない独立青年部会「OMJC」が来年40周年

OMJCは、大阪府全域における業界若手経営者全体の交流を目的として1984(昭和59)年に発足し、青年会ではあるが親会を持たない独立団体として来年40周年を迎える歴史を持つ。今回のパネルディスカッションにパネリストとして登壇した中山哲也氏(トラスコ中山社長)と古里龍平氏(ジーネット社長)もOBであり、卸、販売店、メーカーで分け隔てなく構成され、近年はメーカー会員が多くなっており、現在53社中メーカーが21社を占めるほか、会員定年が45歳と若い段階であることが特徴の団体。

そんなOMJCの坂口泰生会長(ピカコーポレイション社長)が、第一部・総会の最初にあいさつに立った。「今回は変則的に、全機工連に加盟していないOMJCの主催となったが、皆さま方の青年部会とは雰囲気の違うOMJCとぜひ交流していただきたい。発足当時は114社、現在は53社と半減したものの、50社を下回らないことを念頭に若手の加入も続き、年間10回ほどのイベントを行っている。非常に仲良く楽しい会だと自負しており、本日もそんな総会にしていきたい。

「変化はスピード感をもってこそ」(全機工連・坂井会長)

続いて、全機工連の坂井俊司会長(NaITO社長)が、「前回は三重・四日市で2020年2月7日という、ちょうど新型コロナ感染が拡大し始めた時期だったが、なんとか開催できた。その後コロナ禍の3年間で世の中の動き、仕事のやり方が随分と変わった。各社により様々な特長はあるが『変化はスピード感をもってこそ』と認識していかなければならない。今回の全機工連は後援という立場だが、形はどうであれ、業界の精鋭である若手経営者が集まって議論することが大事」と述べ、メインイベントのパネルディスカッションへとつないだ。

パネラーには、トラスコ中山の中山社長(大機器協)、ジーネットの古里社長(大機器協)、大宝商店(東京都機械工具商業協同組合=東機工)の添原章弘社長、徳光(岐阜機工会)の徳永和也社長、山久(滋賀県機械工具商組合)の平山正樹社長、進行役には浜田の濱田和茂社長(OMJC前会長)と業界屈指の有識者が顔をそろえた。まずは、濱田氏いわく「会場を温めるため」の○✕(マルバツ)質問として、パネラーに向け次の5つが用意された。▽Q1「機械工具組合に所属して良かったと思うか否か」▽Q2「飲みにケーションは必要である」▽Q3「後継者は親族および親類関係がすべきである」▽Q4「何歳であろうが健康であるなら一生社長を続けたい」▽Q5「最近の若い世代に言いたいことがある」。

目をひいた中部勢の結束、連帯ぶり(遠州・愛知・岐阜・三重)

このうち、Q5に対し徳永社長は、「私たちの若い頃は近所の年輩者らに何かしら注意を受け、言いたいことを言われた時代だった。しかし今は時代も変わり、日々いろいろな人と会う中で、私は逆に若い世代から勉強になること、学ぶことがたくさんあったので、若い世代に特別何か言いたいことはないのだが、プライベートにせよ仕事にせよ『もっと欲を持ってほしい』とは思う」として、若者のクルマ離れ等を憂いたエピソードを語る場面も見られた。

そして、「これからの物流業界の展望」をテーマに、幹事であるOMJCが議論を重ね、若手経営者ならでは将来への不安や期待から、普段はなかなか「聞きづらい、答えにくい」であろう様々な質問に沿ったクロストークを展開した。

ワンシーンを挙げれば、「モノタロウ、ミスミといったeコマースが拡大しており、機械工具商には脅威となっていたが『2024年物流問題』を目前にして自社配達を持つ多くの機械工具商組合の強みに魅力は感じられるか。またそれは強みと成り得るのだろうか」との設問に対し、古里社長は次のように回答した。「2024年問題は物流のみならず建築等非常に大きな問題だが、自社配達を持つだけで強みになるかといえば、私はあまりそうだとは思わない。ただ、これを機会に物流インフラについて業界全体でどう考えるのかのきっかけにはなると思う。ユーザー直送が少しずつ一般的になっているが、ユーザーの『今すぐ欲しい!』は本当に『今すぐ』なのかどうかは別問題だ。即納しても実は2、3日ほどはそこに置いたまま・・・というケースも少なくない」。さらに、「もちろん全てがそうではないが、要は『使いたい時に物がある』のがベストであり、使いたい3日前に物があってもあまり意味がなく邪魔になるだけ、ましてや使いたい翌日に届いては全く意味を成さないということ。いってみれば、ユーザーも2024年問題を意識することが大事。自社の生産計画を成り立たたせるためにはどういった発注形態をとるのかを、ある意味、機械工具業界の流通と一緒になってインフラ構築を真剣に考えなければならない」と続けた。

これを受け前出の徳永社長は、「確かにeコマースは毎年約20%の成長を続けており大変な脅威だが、対面セールスである機械工具商のきめ細かいサービスは決して負けることはないと信じている。現に発注業務の手間を省くためにeコマース分まで当社に発注いただいているお客様が数件ある。eコマースでは最短でも翌日入荷だが、我々は商品によっては当日中に届けることができる点も大きな強みだと思う」との見解を示した。

それらをふまえ、「2024年物流問題では、現在の郵便物と同じように商品発送の2、3日後に届くと思われ、翌日配達指定となれば書留同様に運賃が増すと考えられるが、このような2024年物流問題を逆手にとれば、全国ネット販売ではない地域密着型販売スタイルの機械工具商にとっては、今まで以上に強みを感じてもらえるチャンスだと捉えたい」との姿勢を強調した。このほかにも、「人生100年時代といわれる中での、今後の高齢者継続雇用や新入社員雇用についての考え」、「これで儲けるぞ! といった他社にはない自社独自の具体的な取り組みやサービス」について意見が交わされる中、中山社長は多岐にわたり終始、「便利とはなにか?」を説いた。

10月17日「全機工連愛知大会」開催へ

また、会場を移しての第二部では、サワタリ機工(札幌機工商業会)の佐渡弓浩社長の乾杯発声により懇親会がスタート。途中、若手交流会の次回開催地となる東機工の大宝商店・添原社長が代表あいさつを行い、中締めでは春日鋼機(愛知県機械工具商業協同組合)の伊藤哲生社長が総会を振り返り、「高齢者雇用、eコマース、EVなど機械工具商として『どうする?』といった身近な課題を考えさせられる有意義な場となった」と、地元・愛知が舞台の大河ドラマになぞらえあいさつし、景気よく三本締めで閉会した。主催・会場は大阪だったものの、総会・懇親会全体を通しては、総じて中部勢(遠州、岐阜、愛知、三重)の結束ぶり、連帯感が強く印象に残った。参加者数で見ても、この4組合でOMJCを上回る35名が出席、実に全体の約3割を占めた。その中部では、10月17日(火)に全機工連愛知大会(名古屋観光ホテル)の開催が控えている。

【取材メモ】パネルディスカッション内での質疑応答の際、聴衆からの「今まで会った人物で『この人はすごいな! 違うな!』と思った人物は?」を受け古里社長は、刺激を受けた人物として「隣にいらっしゃる中山社長(トラスコ中山)、また業界では、DMG森精機の森雅彦社長、ヤマザキマザックの山崎智久会長」の名を挙げ「反面、どの人にもなりたくないのも本音。それは、違った刺激を受けながら自分はどうあるべきかを考え、努力できたということ」と独特の言い回しで敬意を表した。


▲今回は後援として挨拶に立った全機工連の坂井会長  ▲主催のOMJCの坂口会長挨拶           ▲クロストーク、質疑応答に臨んだ5名のパネラー

▲活発な発言が続く徳永氏(左)に見入り、     ▲15組合ら128名が参加              ▲懇親会中締めでは愛機工・春日鋼機の伊藤社長が挨拶
聞き入る中山氏(中央)、古里氏(右)

 

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