ユーザー通信:日本ものづくり業界の発展に寄与できる情報媒体 UT-net.jp

「リアルな」カーボンニュ―トラル取り組みの現時点/コヅカテクノ 小塚社長講演

ユーザー通信 WEB版

あくまで「働く環境整備の結果論、節電対策が奏功」を繰り返し強調

3月1日、日本金型工業会中部支部所属のイーグル会総会(※本紙3面参照)が開かれ、第2部の記念講演では講師にコヅカテクノ(名古屋市港区)の小塚義典社長を招き、「脱炭素社会に向けた取り組み」がテーマとなった。

コヅカテクノは昨年、名古屋市からSDGsを推進している企業として表彰され、今年2月には車体協和会(トヨタ車体)において、これまでのカーボンニュートラル対策が評価され87社の中から優秀事例に選ばれている。1965(昭和40)年生まれ、38歳で社長に就任し20年が経つ小塚社長は、同業者(金型メーカー)らを前に、「基本的には真面目に話すが、ざっくばらんに発表していきたい」として、まずは企業がカーボンニュートラル(以下、CN)を行うメリットとして次の5つを挙げた。■企業価値の向上=責任をもって対処する姿勢■従業員のモチベーション向上(自覚の向上)=従業員に伝える方法の工夫■メディアで取り上げられる機会が増える=ブランド力向上、宣伝■新たなビジネスの創出=さまざまな業界と接点(情報発信)■持続的な資源の確保(持続可能な経営)=経費削減(儲けることが本題)。これらを前提に事例紹介を展開する中から、「リアルさ」が垣間見えたCNトークを、いくつかクリッピングしてみた。

×  ×  ×

 ――きっかけは、建築から50年、30年以上経過した工場の節電対策とISO14001の活用でのCO2排出量の把握を2009年から行っており、CNへ取り組みやすい環境があり、そもそもは働く環境整備の結果論が節電対策につながった。

――「節電は儲かる」。電力費が7年間で1500万円あまり削減。節電で経費節減、工夫をした投資で利益につなげる。これまでの投資は一部を除き1~2年で回収できている。早く取り組むことが収益に反映される。

――金型メーカーのエネルギー使用の主力は電力。8年間で半減を達成している。「コツコツ取り組む」がポイント。

――電気使用量が何によって発生しているか知ることが大切。夏季はエアコンだけではない。遮熱対策によるコンプレッサー室の環境整備と使用方法により低減。コンプレッサー装置を新設するだけでなく、節電のための工夫を周辺にも取り入れる。

――費用最小限に「知恵と体を使って取り組む」。経費低減を目的にCN取り組みの知恵を社員から募集しコツコツと継続し成果を得る。技術集団の金型メーカーとしては社員の有資格者が工事作業を実施して経費低減。

――社員に取り組みを知らせる。まずは社長(会社)が始める。それから社員を巻き込み改善提案を募り一体感を高める。会社情報は誰でも見ることができるよう、社員・来客が通る階段に情報掲示。

×  ×  ×

 これら一例をふまえ、小塚社長は取り組みのポイントを、■50人規模の事業所では社長自らが考え・判断・行動する→節電で経費節減■2009年ISO14001認証取得から考え始めた節電対策(CO2排出量の把握)■2022年9月にTier1会社からの指導で始めたSDGs活動が成果(CNの情報提供)■CNは「まずやってみる」。開始時は工場に宝の山が多くある。少額投資で大きな成果、と挙げ、「いつも、これ以上はできないと思いながらやってきた。CN活動は無駄・ロスの排除から始める」が、「儲ける取り組み」に繋がるとまとめた。

▲示唆に富んだ話を展開する小塚社長

» «