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ユーザー通信 243号 5面:ダイジェット工業 決算発表/売上高の海外比率が過去最高に(49・3%)

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国内外の標準切削工具を主に回復傾向、今期売上高10%増見込む

ダイジェット工業は5月13日、2022年3月期(第96期)の決算発表を行い、同日午後にはシェラトン都ホテル大阪(天王寺区)にて、国内営業部 福井正徳部長らが決算説明会に臨み、概要を説明した。

前年度から続く新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞に伴い、主に国内の需要が低迷していたが、下期より徐々に回復傾向となった。その結果、売上高、営業利益は今年2月4日に公表した通期業績予想のほぼ想定通りとなったものの、為替が円安に推移したことによる為替差益約2700万円の計上と、必然的な保険解約返戻金等による保険差益約7200万円の計上により、経常利益および親会社に帰属する当期純利益が予想を上振れする結果となった。

福井部長は、「国内外の標準切削工具を主とした回復傾向により、前期比較では増収増益の結果となったが、国内向け特殊切削工具、塑性加工用工具(超硬金型類)がコロナ前の水準には至らず、期初はコロナ影響前の20年3月期の経営成績をベンチマークとし進めたが、最終的には及ばなかった」と分析した。

連結売上高は前期同期比17・1%増の80億6700万円。このうち、国内販売が同12・6%増の40億9100万円、海外向けが同22・1%増の39億7600万円。

輸出の地域別は、北米向けが7億9900万円(前年同期比22・9%増)、欧州向けが11億6百万円(同18・2%増)、アジア向けが20億3700万円(同24・9%増)、その他地域向けが3100万円(同14・1%減)。この結果、連結売上高に占める輸出比率は、前年同期に比べ2・0ポイント増え、49・3%に上昇し過去最高となった。製品別売上高は、超硬素材(焼肌チップ)が6億9200万円(前年同期比9・7%増)、切削工具が64億5700万円(同21・8%増)、塑性加工用工具(耐摩耗工具)が9億2百万円(同4・5%増)と、切削工具のインシェアーが増え8割を占めるに至ったが、「かつては3割ずつだった。70%(切削工具)+30%(塑性加工用工具)+30%(超硬素材)が理想ではある」。

収益面では、売上高の増加や売上原価率の改善等により、営業利益は1千万円(前年同期は営業損失5億4千万円)、経常利益は1900万円(前年同期は経常損失5億1900万円)、親会社に帰属する当期純利益は6400万円(前年同期は親会社に帰属する当期純損失6億4300万円)のそれぞれ結果を残した。 「第4四半期(22年1~3月)追い込みで黒字を確保。経常利益プラス分は為替差益が寄与した」。

こういった状況下、21年4月~22年2月にかけ顧客ニーズに沿った新製品開発に注力し12アイテムを発売。中でも、ソリッドコーティングドリル『ストライクドリル』、5軸加工用工具の新ブランド『縦横無尽シリーズ』が注目を集め、好評を得ている。営業活動においては、サマーキャンペーン(「夏のドリル祭り」/21年8~10月)およびスプリングキャンペーン(ショルダーカッター対象/22年2~4月)においては、「それぞれ目標に対し、サマーキャンペーンが180%達成、スプリングキャンペーンも150%以上達成の見込み(正式集計前時点)」と好成績だった旨ふれた。

また、23年3月期の連結業績見通しとしては、売上高89億円、営業利益4億円、経常利益4億円、当期純利益2億8千万円とした。

▲福井国内営業部長

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