ユーザー通信240号 2面 サンドビックの現時点(コロマント会総会 オンライン開催)
ソリッド、自動車アルミ、デジタルエリアでの拡販にフォーカス
市場ブランド力の向上、新規顧客拡大を目指す
サンドビック コロマントカンパニー(本社=名古屋市名東区)は、未だコロナ禍が収束しない中、またデジタル化を積極的に進めるにあたり、同社の主力販売店で構成するコロマント会の令和4年度総会を、今年もオンラインで開催し、3月10~11日の2日間動画配信した。
このうち西日本総会では、最初に有本浩三会長(有恒精機商会社長)が登場し、「コロナ禍においては、サプライチェーンのグローバル化がかえって災いし、物流の遅延、人手不足等で部品の供給不足を引き起こし、生産が滞る事態に陥ることになった。部品供給不足は生産の遅延および価格の高騰を招きそうな展開となっている。この難局でユーザーの生産性の向上に役立てるよう、知恵を絞る必要があると考える」旨あいさつした。
続いて、サンドビック コロマントカンパニー、山本雅弘カンパニープレジデントによるメーカーあいさつと報告、髙宮真一カンパニーバイスプレジデント(西日本営業統括)による主要営業戦略では、概ね次の内容を述べた。
業界で先陣を切り変化を発信、デジタル化リードし貢献(山本カンパニープレジデント)
昨年サンドビックグループは、少し戦略をアップデートした。 ▽SHIFT TO GROWTH=成長へのシフト▽SUSTAINABILITY SHIFT=持続可能へのシフト▽DIGITAL SHIFT=デジタル化へのシフト▽CUSTOMER,S 1ST SHIFT=顧客に一番に選ばれる企業へ▽AGILE THROUGH CYCLE=早い経済環境の変化へ迅速に適応する▽EMPLOYER OF CHOICE=選ばれる雇用主へ、と大きく6つのカテゴリーで構成している。
この中で、特に「成長へのシフト」と「持続可能へのシフト」にふれれば、まず成長へのシフトについては、既存事業において戦略的に重要な産業セグメントや用途向けにソリッド工具、自動車アルミ、デジタル製品などの強化製品や旋削分野などで新製品を投入し、新組織体制で集中的にマーケティングや営業活動を実行し、マーケットシェアを獲得しながら超硬工具メーカーとして成長していく。加えて、今後も積極的なM&A活動を実行しさらに成長を加速していく。
次に持続可能なビジネスは、顧客、ビジネスパートナー、投資家、従業員、将来の従業員などにとって重要性が増し続けている。サンドビック コロマントでは、People(人)、Planet(地球)、Plofit(収益)のエリアにおいて、当社の価値を明確に示すことで差別化する絶好の機会と捉えている。安全で健康的な職場環境を維持し、当社とユーザー双方でのCO2削減と循環型社会の形成、ユーザーの生産性向上および事業の成長という目標達成のために貢献していく。
昨年を振り返れば、コロナ禍が収束する兆しが見えない中、これまでの働き方を大きく変え、バーチャルとリアルのハイブリッドな環境でビジネスを押し進めてきた。産業別では自動車、一般機械、工作機械分野が牽引し、2020年対比で大きく業績を伸ばすことができた。
社内改革を実行し、組織改編、さらにデジタル化を進める上で必須となる社内システムを更新し、SAP(企業の業務プロセスのベストプラクティスをパッケージ化したソフトウェア)を導入した。この新しいシステム導入により、データを基に顧客に一貫したデジタルサービスを提供できる土台が構築できた。
我々のビジネス環境は日々、変化し続けている。グローバル企業である当社としては、世界で培ってきた経験をもとに業界で先陣を切って変化を発信することで、業界のイノベーションやデジタル化をリードし、貢献できると考えている。
新制度で一歩先ん出た販売店モデル構築目指す(髙宮カンパニーバイスプレジデント)
2025年までの主要営業戦略は、「成長戦略」「新チャンネル戦略」「デジタル化戦略」が3本柱になる。
成長戦略では、顧客のニーズに合わせた、成長戦略に則った戦略的活動をチーム一体となり、データ分析を駆使して実施する。同時にグローバルでのM&A戦略ともリンクさせ、新規オポチュニティエリアであるソリッド、EV化に伴う自動車アルミ、デジタルエリアでの拡販にフォーカスする。
新チャンネルでは、新特約店制度により、より長期的なWin Winの関係強化とサービスの提供により、一歩先ん出た販売店モデルの構築を目指す。ユーザー含めトレーニングコースであるサンドビックアカデミーを強化しスキルアップを図る。最大限の営業効率を創出する新しい働き方「New Way of Working」を加速させ、販売店の売上により貢献できる仕掛けを行っていく。
デジタル戦略では、スマートフォンでのIFⅰnd(アプリ)を中心としたセルフデジタルツールを本格運用することで販売店との相互のシナジー効果を創出し、最大限の営業効率とプロフェッショナル化を目指す。デジタルマーケティングを強化し、市場ブランド力の向上とそれに伴う新規顧客拡大を販売店とともに目指す。
コアビジネスの機械加工部分の継続的強化だけではなく、昨年度実施したようなCG Tech(米)買収などのM&A活動をグローバルで展開、強化、加速し、機械加工の前後工程、設計、工程・作業工程、検証など含めたバリューチェーン全体での成長戦略を強化、推進する。
2022年度のフォーカス製品は、▽アルミ合金加工用フライスカッター『M5シリーズ』▽小径超硬ソリッドドリル『CoroDrill 862/462』▽難削材加工用高送りフライスカッター『CoroMill MH20』▽設備の見える化を可能にする『CoroPlus マシニングインサイト』▽センサー内蔵防振工具『Silent Tools Plus』。
タケダキカイがアグレッシブアワード受賞(西日本総会 優秀特約店)
なお、2021年優秀特約店発表では昨年同様、Special Awardの4つの賞が用意され、このうち「Aggressive Award」はタケダキカイ(本社=京都市南区、米倉克幸社長)が受賞した。同社は毎月全社にてオンライン勉強会を実施し、多くの営業社員が参加している。
このほか、サンドビック コロマントカンパニー グローバルオートモーティブアルミニウム 加藤尚紀マネージャーによる「自動車産業の変革が切削加工にもたらす影響『次世代アルミ加工への挑戦』」と題した講演も行われた。
▲山本カンパニープレジデントによるメーカーあいさつと報告(PC画面のスクリーンショット)
2022年3月19日