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ユーザー通信231号 3面:セコ・ツールズ 製品情報フローを一新した「データマトリックスコード」ストーリー 「最大の利点はサステナビリティへの取り組み」

ユーザー通信 WEB版

セコ・ツールズ

製品情報フローを一新した「データマトリックスコード」ストーリー
「最大の利点はサステナビリティへの取り組み」

ファーガスタのイノベーションラボの研究開発技術者であるヤン・グラブニングスブラーテンは、工具の製造工程の廃棄物の削減方法のアイデアを思いついたとき、それがセコのビジネスにどのような影響を与える可能性があるのか全く気づいていなかった。

数年後、ヤンのアイデアにより、100億個の工具を追跡することが可能になり、同社製品の使用方法について膨大な知見を得ることができるようになった。

2018年1月にヤンは、製造工程で不具合が発生したとき、工具がバッチ番号でしか識別できないために影響を受けた工具を個別に特定できないことに 気づいた。

「1つのバッチに含まれる工具は1万個から2万個におよぶことがある。製造の不具合の影響を受けた可能性があるものを特定することは不可能だったため、全てを最初からやり直す必要があった

これでは採算が取れない」とヤンは述べている。

課題は、工具を個別に特定する方法を見つけることだった。
そのときヤンが閃いたのは、QRコードに似た「データマトリックスコード」だった。

「当社のコードには100億通りの数字を選択した。

工具を製造する機器からすべてのコードを収集するソフトウェアを使用して、コードを付けた工具を完全に追跡することができる」とヤンは説明する。

1987年に発明されたデータマトリックスコードは、製造プロセス中の物のトラッキングによく使用される二次元コードで、レーザー印刷処理により、セコ・ツールズ製品で特に人気の高いツールであるTurbo16ツールにコードが印刷される。

現場に導入したツールにデータマトリックスコードを貼付することで、 将来的には、ユーザーとセコ・ツールズが使用期間を通じてデータマトリックスコードをトラッキングできるようになる。

このコードは、ユーザーに役立つ情報を豊富に提供するアプリケーション「Seco Assistant」にも対応している。計算を実行したり、工具を直接スキャンしたりすることで詳しい情報を確認できる。

「工具の使用方法、つまり使用する機器、設置時期、使用期間、用途などのデータをユーザー様にシステム入力していただけるのが理想。工具上のコードをスキャンすると、これらのデータがすべて表示される。これは工具の生涯の記録といえる」とセコ・ツールズのデジタル化の専門家、マイケル・ボーディンは語っている。

ヤンは少人数のチームとともに、レーザーで工具にコードを印刷する方法を発見した。
「これは、ユーザー様が特定の方法で工具を使用したときに問題が発生する場合に特に役立つ。 世界中のどこにいても、過去に何が使用されていたかを確認し、ユーザー様の問題に対する解決策を探すことができる」とヤンは話す。

工具から収集したデータを研究開発プロセスにフィードバックすることにより、次世代の製品を改善することができる。

「データマトリックスコードも読み取ることができる場合は、コードを使用して返却された製品を分類できるため、リサイクルプロセスがはるかに容易になる。
様々な金属化合物を迅速に分類して、可能な限り再利用できるようになる。これは、当社のサステナビリティへの取り組みにとって大きなプラスだ」とヤンは続ける。

マイケルも、「これまで当社は、このアイデアを1つの製品に適用して初期の問題を解決してきた。

しかし理想は、耐用年数が終わると製品を返却することを製品の購入時にユーザー様に同意していただくこと。

返却の際にコードをスキャンすることで、使用期間中に製品にどのようなことが起こったかを確認できるからだ」 と追随する。

最後にヤンは、「リサイクルプロセスを自動化し、使わなくなった工具は返却するようにユーザー様に伝えられることを想像してみれば、将来的には、古い工具を簡単に廃棄することができなくなり、リサイクルが必須となるかもしれない」とまとめた。

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