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ユーザー通信230号 4面 三井精機工業 川島(埼玉)本社工場で感染防止対策徹底、午前・午後二部制で工場見学会実施

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三井精機工業

川島(埼玉)本社工場で感染防止対策徹底、午前・午後二部制で工場見学会実施

三井精機工業(加藤欣一社長/以下、三井精機)は3月17~19日に、本社(埼玉県比企郡川島町)工場内精機棟Eラインにて、工作機械の「2021年 工場見学会」を実施した。


同社では例年であれば年初にプライベートショーの「MTF」(Mitsui Technical Fair)を本社、名古屋、大阪の各地で開催しているが、今年は新型コロナウイルス禍である現下の状況を鑑み、感染防止対策を徹底し、午前・午後の二部制での工場見学会というスタイルをとった。

この同社初の試みとなった3日間には、西日本など遠方からも含め、合計35社・110人(ユーザー単独およびユーザーに伴っての商社)が来場し、「限られた少人数で、多数の機械をじっくりと見学でき、かなり落ち着いて説明を聞くことができた」など、通常のMTFとはまた違った観点での好評が得られたという。

そんな中、プレシジョンセンタ『PJ303X』と大型ジグ研削盤『J350G』の新機種2台をはじめ、プレシジョン・プロファイル・センタ『PJ812』、ジグ研削盤『J350G』、横形マシニングセンタ『HU80A』、5軸立形MCでは『Vertex55XⅢ』と2018年のJIMTOFで初公開した『Vertex100X』、5軸横形MCでは『HU80A‐5X』と『HU100‐TS』、そして、ねじ研削盤のフルモデルチェンジ機としてJIMTOF2018で初公開した『GSH200A』を主な見学可能機種として展示した。

いずれも特長多彩な製品群だが、このうち、「INTERMOLD 2021」(4月14~17日/東京ビッグサイト・青海展示棟)に出展するPJ303XとJ350Gの2機種についてピックアップする。

まず、PJ303Xは、「究極のマザーマシン」を謳うPJシリーズに4年半ぶりに加わった新機種で、3月早々に開催された「Grinding Technology Japan 2021」(幕張メッセ)が初披露の場となった。

ジグボーラーの高精度位置決めと高品位加工形状加工を実現し、かつMC並みの効率・使い勝手を実現するPrecision Profile Center(プレシジョン・プロファイル・センタ)という新たなジャンルは、2016年のJIMTOFでPJ812として初公開した。

精密順送金型、高精度プラスチック金型、各種試作部品、光学関連部品、航空宇宙関連部品、医療機器関連など中大型で高精度を必要とされる需要が高まる中で、静的精度はもちろん、動的精度を徹底的に追求し誕生したPJ812は、ジグボーラーでの門型構造のメリットをふまえ開発し、MCとしては今までにない構造で提案している。

その流れを汲んだPJ303Xは、熱変形を考慮した左右対称門型コラム構造、直線軸は高速駆動リニアモータ、回転軸はDDモータを採用し、俊敏な加減速、バックラッシュのないスムーズな動きを実現している。

また、最新の主軸熱変位補正機能を標準装備し、特殊熱変位キャンセル機構による主軸は、ヘッドの熱変位を大幅に抑制するほか、回転式2弾扉の正面操作扉など広い間口をもったドアといった良好な段取り性に加え、機内でのワークや工具の自動計測が選択でき、自動運転が可能となるなど、精密微細加工に革新をもたらす特長をもつ。

次に、2016年のMTFで初披露したJ350Gは当時、ジグ研削盤としては実に約20年ぶりのリニューアル登場だった。

ジグ研削盤は、高精度金型、光学・測定関連の部品加工などに使われる最終仕上げを目的とした機械であり、金型の仕上げ加工ではワイヤカット加工機の適用範囲が広がってきたとはいえ、究極的な精度では、やはりジグ研削盤の右に出る機械はない。

三井精機では約60年前からジグ研削盤を手掛けており、その精度は多くのユーザーから高い評価を得てきたものの、時代に則した性能・機能も求められていた。

そんな中、J350Gは、ジグ研削盤の「命」といえる主軸ヘッド構造を一新し機能を高めたが、最も注目されたのが砥石自動切込みストローク(U軸)が従来2㎜に対し53㎜という大幅な拡張だった。これにより、遊星回転で異径穴を加工する場合、1本の砥石での自動加工範囲が拡大するなど、従来機に比べ自動化レベルが大幅に向上した。

さらに、従来機では構造的に安全カバーを装備する前提ではなかったが、J350Gではデザイン性も考慮した安全カバー(天井付き)を標準装備したことにより、従来機に比べ設置スペースが半減したことに加え、ジグ研削盤は基本的にはドライ加工が多いが、J350Gはフルカバー仕様であることから研削油を用いた加工もでき、仕上げ加工はもちろん、様々な加工用途への広がりを見せ、従来機からの置き換え需要も順調に取り込んでいる。
なお同社はINTERMOLDでは、オイル式インバータコンプレッサ『ZV22AX‐R』も併せて出展する。
【小間番号・A‐271】

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