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ユーザー通信217号 8面:サンドビック コロマント会総会

ユーザー通信 WEB版

サンドビック コロマント会総会

山本カンパニープレジデント 新生コロマントジャパン
中部日本コロマント会総会を開催

「バリューチェーンにおける成長」をメイン戦略に
デジタル「技術」で機械加工を強化、その前後工程まで「ソリューション」で提案拡大

 

サンドビック コロマントカンパニー(本社=名古屋市名東区)は2月13日、名古屋マリオットアソシアホテルにて「2020年 中部日本コロマント会 総会」を開いた。

同社の主力販売店で構成するコロマント会の総会はこのあと、西日本(大阪)、東日本(東京)と続く予定だったが、今年はコロナウイルス感染拡大の影響により、名古屋が唯一の開催となった。

中部日本コロマント会の箕浦康弘会長(中央工機社長)は、「コロマント ジャパンにおかれては、ニューリーダーとして山本カンパニープレジデント就任のもと、新しい組織と戦略でのスタートにあたり、大きな数字・実績こそがお祝いになると思う」と会員各社に、これまで以上のサンドビック商品の拡販を呼びかけた。

続いて、山本雅広カンパニープレジデント(サンドビック 取締役副社長)があいさつに立ち、「日本だけではなく東南アジア全域、インド、オセアニアの統括責任者として、新たなチャレンジをすることになった」としたうえで、「そんな中で、アジア全体を見ることにより、グローバルレベルで新たなビジネスチャンスを皆様に提供でき、貢献できるのではないか」との考えを述べたあと、スウェーデン本社の業績報告に入った。

サンドビックグループの受注高は日本円で約1兆2千億円、2018年に比べ受注高で2%減、収益でプラスマイナス0。「全体では欧州が下降傾向である」という。

そして、コロマントが所属するビジネスエリアのマシニング・ソリューションは、受注高・収益とも18年比で10%減、営業利益が19%減と「非常にチャレンジングな状況だった」と業績結果を振り返った。

次に、髙宮真一バイスプレジデントがあいさつを兼ね、主に次の内容をメーカー報告とした。

新体制での新たなキャッチフレーズは、「Change! Challenge! Create!」。この3C(トリプルC)のもとで営業強化を図る。

3Cそれぞれの意味を、Changeは「自分たちの働き方改革」「顧客アプローチの改革」「マーケティング活動の沿革」、Challengeは「デジタルオファーの強化」「グローバルで通用する人材の育成」、Createは「よりシナジーのでる働き方」「新しいプロセスの構築」「スペシャリスト化による顧客へのサービスの提供」と説明した。

19年度のコロマント ジャパンの業績は、2009年を100とする指数で168、18年の180に比べれば12ポイント減となったが、「トータル的に見れば厳しい1年であったが、我々の強みとする機械搭載ビジネスが奏功したことで数字の下支えになり、国内メーカーよりも下落幅は小さかったのではないかと考える」と個人的観測を示した。

この業績をV字回復させるべく臨む新体制では、髙宮氏が管轄する西日本クラスターには4つの支店(東中部、西中部、近畿・北陸、中四国・九州)と1つの専門部隊(航空機推進部)が属し、支店長4人と部長ひとりの計5人中、4人が新任という非常にフレッシュな陣容となった。

「西中部と東中部は他地域に比べエリア的には狭いが(愛知、岐阜、三重、一部の静岡県)、非常にポテンシャルの高い激戦区であることは言わずもがなであり、ぜひここからテリトリーを取りたい」。

そのうえで、20年の戦略では、設計・工程計画・作業計画・調達・機械加工・検証・出荷といった「バリューチェーンにおける成長」をメインとする。
この中ではもちろん、機械加工がコアのビジネスエリアとなり、新製品の導入、新しいアプリケーションのサポート・提案を進め、さらに同社がフォーカスしているデジタル技術を融合させ、コア部分を強化していく。そしてデジタルソリューション(ツール、ソフト)を駆使し、機械加工の前後工程まで提案を拡大する。

また、フォーカスエリアとしては、ソリッド工具・機械搭載・デジタル加工(CoroPlus)とデジタルセルフサービスを挙げた。日本では大きなマーケットであるソリッド工具だが、「当社としては、まだまだシェアが低い」と考えており、全ての加工においてプレミアムな性能を提供することによってシェアを高めていく。

機械搭載では、5軸機、複合機といった高付加価値の機械にターゲットを絞り、関連性を高める。デジタルエリアにおいては、バリューチェーンを最適化するための様々なオファーを強化し、インダストリー4・0時代に踏み出す。

最後に、20年の四半期ごとの注力製品として、第1四半期の刃先交換式穴あけ工具(CoroDrill DS20)に始まり、順に、ソリッド工具全般、フライス工具(CoroMill)、そして第4四半期の旋削工具(CoroTurn Prime)と続くランナップを挙げた。

髙宮氏は、これら強化製品の市場浸透、拡販トライを促し、東京五輪の開催になぞらえ、「厳しい1年になると思うが、ぜひ皆様方といっしょに、ひとつでも多くの金メダルを獲得したい」とまとめた。

総会はこのあと、19年優秀特約店表彰、成功事例発表(クリオキカイ商会)、サッカー解説者・山本昌邦氏による講演、第2部の懇親会へと続いた。

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