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ユーザー通信237号 6面 宇宙大特集 アストロスケール 、過去最大の資金調達を実施 累計額334億円達成

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宇宙大特集

アストロスケール 、過去最大の資金調達を実施

累計額334億円達成

持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスを含む軌道上サービスに取り組むアストロスケールホールディングス(本社=東京都墨田区、創業者 兼 CEO=岡田光信氏)は、第三者割当増資により、日本のTHE FUND投資事業有限責任組合、日本グロースキャピタル投資法人等をはじめ、英国のセラフィム・スペースインベストメント・トラストやフランス DNCAファイナンス傘下のDNCAインベストメント・ビヨンド・グローバル・リーダーズを含む海外投資家グループ等から、シリーズF(投資ラウンド)において過去最大額となる約124億円の調達を実施した。

同社にとって6回目となる今回の資金調達により、累計総額約334億円の資金調達を達成することとなり、軌道上サービス市場への注目の高まりを示している。

複数の投資家の新たな参画は、軌道上サービスの技術開発や持続可能性に向けた取組みの重要性を際立たせている。日本でも有数の独立系クロスオーバー・グロース・キャピタルであるTHE FUNDからの投資は、持続的な宇宙利用の実現に向けて、資本市場からの長期的なコミットメントを意味する。

さらに、世界初の上場ファンドで、有望な宇宙企業・宇宙技術を見出すことで知られる世界的リーダーのセラフィムからの投資は、アストロスケールが軌道上サービス市場の発展を牽引していることを示すものであり、アクサ生命保険からの投資は、軌道上サービスを含む宇宙ビジネスの将来性への期待を示唆している。

シリーズFによる追加資金によって、安全で費用対効果の高い軌道上サービスに関わる技術開発、日本、英国、米国における量産に向けた自社施設の拡張等、同社のグローバルでの成長が可能となる。

「ELSA-d」は模擬デブリ再捕獲に成功

重要なマイルストーンであるシリーズF資金調達により、アストロスケールがグローバルに開発するミッションとサービスを躍進させる。

今年8月には、デブリ除去技術実証衛星「ELSA-d」 (エルサディー)の実証において、模擬デブリの再捕獲に成功。現在は、年内に実施予定である次のフェーズとして、捕獲機(サービサー)の自律制御機能を用いた「自動捕獲」に向けて準備を進めている。

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次世代ドッキングプレートで宇宙環境保護

またアストロスケールは、衛星の将来的なサービス展開やデブリ除去を見越し、標準化されたインターフェースを備えた新しいドッキングプレートを発表した。

このドッキングプレートは、自動車の牽引フックのように標準化されたインターフェースを持ち、捕獲対象となる宇宙機側に備えることでデブリ除去衛星による将来の捕獲サービスを可能にするもので、今後すべての低軌道上衛星へ標準搭載されることを望んでいる。

衛星の稼働中は運用の妨げにならないように設計されており、宇宙空間での耐用年数は15年以上と堅牢で信頼性の高いものとなっている。

様々な衛星の設計に合わせてカスタマイズが可能で、ロボットまたは磁石を用いた捕獲メカニズムの両方に対応しており、この活用により、軌道環境の保全に貢献することができる。

ELSA-dミッションでは、商用利用を見据えて、同機器最初のプロトタイプを搭載・実証している。

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