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ユーザー通信 243号 4面:Cominix 決算発表/コロナ禍から回復、売上高が過去最高に

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引き続きM&Aを積極的に実施、成長戦略の柱に

Cominixは5月27日、新本社(大阪市中央区南本町・JRE堺筋本町ビル)にて、2022年3月期の決算説明会を行った。

連結業績の概要は、売上高269億2900万円(前期比28・3%増)、営業総利益55億8900万円(同30・4%増)、営業利益6億6300万円(同811・3%増)、経常利益7億8100万円(同544・2%増)、税引前当期純利益14億5900万円(同242・4%増)、当期純利益8億8800万円(同201・2%増)と、コロナ禍からの生産活動・設備投資の回復基調を追い風に売上高は過去最高額を達成、旧本社ビル(大阪市中央区安堂寺町)の土地・建物の売却益を特別利益に計上し、当期純利益が伸長した。

セグメント別の売上高では、切削工具事業が167億2700万円、耐摩工具事業が25億6600万円、海外事業が56億1600万円、光製品事業が12億3200万円、その他が7億8800万円。

主力の切削工具事業はコロナ禍から回復基調の顧客状況もあり、主要メーカー品・粗利率の高いCominix製品(海外の優秀なメーカー、独自の高品質商品を掘り起こし同ブランド商品として取り扱い)とも売上前年比20%増と大幅に伸長し、増収増益。海外事業では、新たに子会社化した広州加茂川国際貿易有限公司を含め、Cominixグループ全体でのグローバル展開を武器に、グループの業容拡大に注力。景況感が回復基調にある米国や、自動車販売や設備投資の増加を受けて工具需要が拡大する中国を中心に、一部の国を除き堅調に推移し、増収増益となった。

柳川重昌社長はトピックとして、「積極的なM&Aの推進」と昨年11月に実施した「本社移転」を挙げる。M&Aの活用について、20年以降では同年2月の大西機工(大阪)はじめ、同8月に東新商会(東京)、同9月に澤永商店(福岡)、同12月に川野辺製作所(東京)、21年11月に広州加茂川国際貿易(中国)、直近では今年3月に1件のM&Aを行っている。「コロナ禍以降では、米国の1社含め6社のM&Aを実施した。鉄道や電機メーカーなど大手ユーザーを顧客に持つ有力代理店の囲い込みや後継者不在、顧客の海外進出に対応できないなどの企業を友好的に子会社化している。引き続き成長戦略として積極的にM&Aを検討する」。そして本社移転においては、新型コロナの拡大を受け、全グループ会社において在宅テレワークの対応を実施し、オフィススペースの有効活用によるコスト削減など本社機能の充実による経営の効率化および事業継続性の向上を図った。「今後の働き方への変革にあわせ、フリーアドレススペースやリフレッシュスペースを設け、よりコミュニケーションが活性化する業務効率の高い環境を整備した」。伴って旧本社ビルの土地、建物の売却、譲渡益による特別利益を計上し、財務体質の強化を図った。

工作機械販売も積極的取り組みへ

その上で今期23年3月期の連結業績予想は、売上高290億円(前期比7・7%増)、営業利益10億円(同50・8%増)、経常利益10億1千万円(同29・2%増)、当期純利益6億4500万円(同27・4%減)と見込む(当期純利益の減収予想は、先述のとおり22年3月期に旧本社ビルの土地・建物売却益の特別利益計上による)。

なお、高度専門商社の地位をさらに確立すべく、「特に切削工具事業と海外事業は新たな分野への開拓を含めた切削工具のシェアアップを見込む」とし、さらには、「これまでも年間3~5台ほどの実績はあった」という工作機械販売について「今後は積極的に取り組んでいく」とも言及した。

▲決算説明に臨む柳川社長

 

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