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ユーザー通信 242号 1面:オーエスジー 「超多品種少量生産」 NEO新城工場を披露

ユーザー通信 WEB版

オーエスジー
「超多品種少量生産」
NEO新城工場を披露

超硬タップと超硬ドリルの一貫生産が可能なスマートファクトリー/生産本数70万・生産品種6千・生産ロット8千(月産)

思えば2019月1月15日、OSG全国合同賀詞交歓会に先立った記者会見の場で当時の石川則男社長(現会長)から「これからの10年を考えれば、国内の生産体制の刷新することを決断した」とその構想が披露されてから3年余―。

オーエスジー(本社=愛知県豊川市、大沢伸朗社長)の「NEO新城工場」(愛知県新城市有海)がこの4月、ついに一般公開された。まずは5日間にわたり国内販社関係者150人を招いての工場見学会を実施し、4月22日には下江洋行新城市長や工事関係者を招き、感謝品の贈呈や報道陣へのお披露目が行われた。

NEO新城(しんしろ)工場は、オーエスジーが切削工具メーカーとして日本から世界へと飛躍の基となった既存のマザー工場をリニューアルし、一昨年(202年)5月に完成した。設備導入、フル生産に向け調整を進め、DXを駆使した超多品種少量生産を実現する次世代工場として稼働、本来は昨年披露の予定だったがコロナ禍の影響により今年4月まで延期となっていた。

工場敷地面積は11万2千㎡。従業員数は6百人。生産品目は超硬ドリル、超硬タップ、ハイスドリル、ハイスエンドミルで、月間の生産本数は70万本、同生産品種は6千種、同生産ロットは8千ロットを手掛ける。「超硬タップと超硬ドリルの一貫生産が可能なスマートファクトリー」が特徴となる。

微細精密加工は、今後半導体、5G、ロボット、精密金型などの分野でさらなる需要拡大が予想され、モビリティでのEV化、CASEといった潮流から精密加工への要求は加速的に広がると見込まれる。そんな中、NEO新城工場では超多品種少量の生産をデジタル化することにより各工程の生産状況がひと目でわかる「見える化」を徹底し、社内全体での生産状況、稼働率といった製造管理を共有していく。

ボトルネックを円滑にまわすデジタル組み入れツールや優先管理など、リアルタイムでデータをアクションにつなぐ生産管理の最新管理システムを導入したスマートファクトリーをフル活用し「ゼロワンファクトリー」を推進。また生産現場のみならず、旧食堂を席順に捉われない事務室にし、グローバル感を養うため会議室の名称をオーエスジーが海外展開する国名とし現地時間を表示するなど、他にもダイバーシティの実現を目指した数々の施設管理は「ゼロワンオフィス」を標榜する。

「人に頼った旧来のものづくりからの脱却を目指し、DX化、生産方式、管理の刷新を進める」(石川会長)。
「月産70万本のうち微細精密加工製品を30%生産している。数年以内には40%以上にする計画で、これら微細精密加工の需要に応える供給力が求められている。そのカギとなるのがNEO新城工場であり、最新IoTの導入でものづくりの仕組みを大きく変えた」(大沢社長)。

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