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ユーザー通信215号_9面_デジタル加工のドアオープナー デジタル加工の現時点 <後編> 河田洋一氏インタビュー

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デジタル加工のドアオープナー デジタル加工の現時点 <後編>

河田洋一氏インタビュー

サンドビック・コロマント(本社=名古屋市名東区、山本雅広カンパニープレジデント)が押し進める「デジタル加工ソリューション」について、本紙前号(2019年12月号)では、同社デジタル加工製品担当の河田洋一氏による「全体像」の説きを〈前編〉として取り上げた。引き続き今回は、河田氏自身が表彰の場に臨んだ、日本機械工具工業会(以下、JTA)の令和元年度・技術功績大賞受賞製品『Silent Toolsプラス』の解説にフォーカスし〈後編〉としてお届けする―。

―デジタル工具としてサイレントツールを選んだ理由

河田 サイレントツール(防振工具)そのものは40年以上前からありますが、今回新たに、工具の中にセンサーを直接内蔵することによって、加工中のびびり振動などのデータをモニタリングし、見える化しましょうという製品がSilent Toolsプラスです。

センサーを使って加工をモニタリングしようというアイデア自体はサンドビックが最初に提唱したわけではなく、すでに実用化されています。特に工作機械メーカーでは機械に様々なセンサーを搭載しているので、加工のモニタリング自体は新規性のあるものではありません。

ですが、機械のセンサーから実際に加工が行われている刃先までの距離が短ければ問題なくデータは取れると思いますが、工具や加工によっては、機械のセンサー搭載部分から刃先までの距離があるため、はたして機械に搭載しているセンサーで実際の加工データが正確にモニタリングできるだろうかという疑問があり、より刃先に近い部分にセンサーを入れる必要がありました。その意味でサイレントツールは、工具の突き出しが非常に長いため、センサー搭載に適していたわけです。


―話が工具に集約されていると前回の「全体像」に比べ、随分とユーザーにもとっつきやすく、理解しやすい

河田 そうですね、工具の切り口となれば、ユーザー様にはわかりやすく受け止めていただいているようで、サンドビックのデジタル加工製品といえば、イコール、Silent Toolsプラスだと思われているフシがあります。もちろん間違ってはいませんが、実はそれ以外(ソフトウェアなど)もあります、と説明する機会も多いです。

―主な加工用途

河田 常時モニタリングの必要があるユーザー様が対象になるので、高価なワークを加工されていたり、失敗のできない加工をされるユーザー様となれば、やはり航空機関連が多いです。また、センサーはあまり小さい工具では内蔵できないので、ある程度大きな工具に限定されてしまい、必然的に加工物も大きくなることからも、航空機関連が最もSilent Toolsプラスにマッチすると思います。

いまのところ製品品目も限られており、対象となるユーザー様も多いとはいえませんので、どちらかといえばドアオープナーというか、デジタル加工製品で具体的に何ができるのかを見せるツールとしての役割もあります。

―JTA技術功績「大賞」受賞製品

河田 センサーを内蔵した工具は既存製品にはなかったこともあり、そういった新規性の高さをJTAから評価いただき大賞を受賞することができました。デジタル加工という新たな分野を工作機械だけではなく、他メーカーも含めた切削工具業界全体に新たな道、可能性を切り拓いたというところも評価いただけたのだと思います。

ちなみに、技術功績賞は従来からあったのですが、その中でも最優秀なものを表彰する「大賞」は昨年度から新たに設立されましたが、昨年度は該当する製品がなかったため、サイレントツールPlusが「初選出」ともなりました。

―「デジタル推し」の今後

河田 サンドビックはこれからも「デジタル推し」ではありますが、デジタルだけで独立した売り上げをつくっていこうという考えではなく、基本は切削工具メーカーですので、従来から販売している切削工具がビジネスの中心になるのはこれから先も変わりません。あくまで主役は切削工具であり、デジタル加工製品によって従来ビジネスとの相乗効果を得るというのが狙いです。

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